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アカリ(21)
T164 B88(E) W56 H87
投稿日時

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お題:異世界転生・歴史探訪
嘘つき同士の友情・最期の晩餐
希望と空虚・臆病者
据え膳食わぬは男の恥
正解と正しいは違う
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すると耳元に声が降ってきた。
「神の国は、ここに始まる」
その言葉を受けて
私は喉の奥に引っかかった恐怖を
急ぎ飲み下した。
そしてその言葉を繰り返した。
「神の国は、ここに始まる」
声は思いのほか通った。
加えて何とも言えない
厳かな神聖を帯びて響いた。
流石イエス・キリスト。
身体は貧相でも、声帯は救世主仕様だ。
どうですか、このリヴァーヴにコーラスを
全開でぶち込んでピッチシフターで
完璧に整えたような美声。
音響エンジニアなんてこれ聞いてたら
裸足でトンズラして廃業ですよ。
そうして私が私の美声に
酔いしれている間に
群衆からざわめきが起こった。
それは歓声の前触れのようでもあり
泣き出す直前の嗚咽のようでもあった。
「続けろ。次。
お前たちは見捨てられていない。だ」
せっかく人が群衆と共に
己が言葉の余韻に浸ってるというのに
なんですかこいつは。
則天武后気取りかよ。
垂簾の政の時の高宗って
こんな気持ちだったのかなぁ。ヤだなぁ。
あんな薄い御簾
後ろにいるの絶対バレてるのになぁ。
定期的に耳にかかってくる
吐息も気色悪いし。
っていうか今この状況で絵守の囁き女将が
バレてないっぽいのがスゴいんですけど。
信仰心は人を盲目な羊に変えると言うが
いや、今は素直に
その盲信にあやかっておきましょう。
南無南無阿弥陀の妙法蓮華。
「お前たちは見捨てられていない」
私は観念して
絵守のリヴァーヴエフェクターに
暫時転生することにした。
「主の家を売る者も
主の名を盾に人を喰う者も
今宵ここで終わる」
私は復唱した。
復唱に復唱を重ねた。
己が承認欲求を鉋で削るように。
するとどうでしょう。
人間というものは不思議なもので
言葉を口にしているうちに
それが絵守のものでも
なんだか少しずつ己のものになってくる。
私が絵守の文句を二句、三句と重ねるうちに
それは己自身の感情と混ざり合い
溶け合い、私の言葉ともなり始めた。
「主の家を売る者も
主の名を盾に人を喰う者も
今宵ここで終わる」
私の言葉は今や
私自身のパッションに滾っていた。
前庭のあちこちで、誰かが泣いていた。
誰かが拳を挙げていた。
誰かが地に額を擦りつけていた。
?
「いいぞ」
絵守の声が、少しだけ熱を帯びた。
「次だ。ローマを恐れるな、と言え」
則天武后がいきなり無茶を言ってきた。
「おいおい。そいつぁちょっと
ハイになり過ぎじゃないかい?兄弟」
「言え。今しかない」
せっかくマカロニウエスタンの
吹き替えノリで慎重を促そうとしたのに
全然聞いてくれない。嫌な女帝だ。
私は軽く舌打ちした。
いや、したかった。
しかし群衆の手前
それも叶わなかったので
代わりになんか
神々しい感じの所作で指パッチンをした。
全然音が鳴らなかった。
こんなに掌が手汗で湿っているのに。
私には指パッチンの才能すらないのか。
マカロニウエスタンも
指パッチンも滑り倒した私は
もはやリヴァーヴ機能以外
全壊して使えない
ポンコツマルチエフェクターのようだった。
まだ電源が入るだけでも奇跡だ。
「ローマを」喉がつかえた。
絵守がすかさず
脊椎の急所を突いて追い打ちをかけてきた。
幸か不幸か、その衝撃で
喉のつかえが取れた。
そして出掛かっていた言葉が
そのままポンと飛び出た「恐れるな」。
言ってしまった。知らない。もう知らない。
文句があるなら囁き女将に言ってくれ。
そう言えば船場吉兆は
結局廃業になったけど
私はこれでよかったのか。
則天武后は成功したけど高宗は散々な上に
息子の中宗は則天武后に憧れた
嫁の韋后に毒殺されるし
私は本当にこれでよかったのか。
廃業。簒奪。毒殺。
すべってころんで山がひくい。
嗚呼、もう
自由律俳句の世界で生きていきたい。
分け入っても分け入っても青い山。
?
「ローマを恐れるな!」
群衆の反応は早かった。
おお!と地鳴りのような声が
広場の底から湧く。
そうか、みんな覚悟の上か。
良かった。良かった。
じゃない。
民衆の熱に己の正義を委ねるなかれ。
彼らは何を保証するものでもない。
私が私を保証しなければ
その先には腐敗しかない。
私は傀儡に非ず。
己が意志で覚悟を決めなければならない。
そして
その覚悟を決めるために
残された時間はぶっちゃけない。
私は私の腐敗の入口を
足の裏で踏んだ気がした。
そんな私の内心など知る由もなく
あるいは知った上で無視しているのか
絵守は尚も囁き続ける。
「ティベリウスは遠い。
ピラトはただの代官だ。
神を売る者も、民を打つ者も
今この都で裁かれる。と言え」
私に拒否権はなかった。
未だ覚悟が決まらぬのであれば
私はこのまま
腐敗したリヴァーヴを奏で続けるしかない。
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?アカリ?
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お題:異世界転生・歴史探訪
嘘つき同士の友情・最期の晩餐
希望と空虚・臆病者
据え膳食わぬは男の恥
正解と正しいは違う
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神殿内に、大祭司カヤパの姿はなかった。
どさくさに紛れて逃げたのか。隠れたのか。
いずれにせよ、ここはすでに
ヤツのものではなくなったというわけだ。
「さあ主よ。神の国へ我らをお導きください」
絵守が私を肘で小突きつつ
連行するみたいに
祭壇に連なる白い石段の上へ
半ば無理やり立たせた。
なるほど、確かにここは見晴らしが良い。
前庭を埋めた群衆の顔が
波のようにこちらへ向いている。
幾千幾万の目玉が
いっせいに私という一点へ縫いつけられている。
家系ラーメンの暖簾めいた顔は
内側から麺のようにふやけ
藤原道長やルイ14世の魂も
何処かへと吹き飛んだ。
望月は兎の杵の一撃で砕けた。
私の腰も砕けた。
もう背筋はクニャクニャだ。
嗚呼、ヴェルサイユが燃えている。
私はこんな場所に立つべき人間ではない。
どちらかと言うと芸能人の謝罪会見を見て
「言葉に誠意がねぇんだよな~」
とか一日三食のカップ麺を啜りながら
画面に向かって汁を飛ばす側である。
そんな私が一万人の命運を背負って
演説を打つ。何をご冗談を。
人には持って生まれた器
と言うものがあると言ったでしょう。
私の器はねぇ
自慢じゃないがお猪口ですよ。
そんなお猪口に一万本のワインを
灌いでごらんなさい。
お座敷が海になりますよ。
舞妓も幇間も溺死ですよ。
女将が発狂して番頭と駆け落ちして
鬼平に取っ捕まって白砂の上で
桜吹雪自慢されて
結局は山田浅右衛門の刀の錆ですよ。
嗚呼、浅右衛門さん。
あたいの肝を立派な薬にして
病床のおとっつぁんに
届けておくんなさいまし。
後生です。
それが女将の最期の言葉であった。
浅右衛門は人情で以て
この約束を果たそうとしたが
女将のおとっつぁんは行方知れず。
浅右衛門は江戸を出てまで
方々を探し回った。
そしてゴビ砂漠中央まで来て
水が尽きた浅右衛門。
もはやこれまでと命尽き果てる寸前の
浅右衛門の前に夢か現か薬師如来。
「汝が秘薬を試してみよ」。
とは、女将の肝の妙薬のこと。
これも如来の思し召し。
一飲み口内納めたり。
浅右衛門が波打てば、観音菩薩に早変わり。
菩薩は私に語り掛ける
「賽の目に羞恥の概念はありません。
ですからあなたの厄災に頓着しない。
嗚呼、なんと憐れな筆山よ。
三千世界の果ての果て。
私が救って差し上げよう。
解脱の救済ここにあり。
涅槃で虚無へと帰りましょう」。
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「おい。何を呆けている。
しっかりしろ。胸を張れ」
絵守が隣で見えない角度から
脊椎の急所を突いてくる。
人が現実逃避の先に
解脱の救済を得る寸前だったというのに
なんて厭らしいヤツだ。
タクラマカン砂漠で干物になって
性悪女がそれを四寸ずつに切ったのを
干し魚だと嘘ついて売って
そんな女は羅生門でババアに引剥ぎされて
そんなババアも下人に引剥ぎされて
そんな下人は行方知れずになっちまえ。
全くどいつもこいつも。
おらぁもう人間が信じられねぇ。
ってこれは黒澤明監督の方の羅生門だった。
結局私の思考は藪の中だ。
「おらぁ、おらぁもう己が信じられねぇ」
「なんだ怖気付いたのか?
こんなものよりキツイ修羅場を
潜ってきたはずだろ」
「んだども、おらぁ注目されっつごどに
からきし慣れてねんだしゃあねぇがら」
私は限界だった。
今まで逃げ続けてきた
ツケが回ってきたのか。
まさか此処へきて己の引き籠り根性が
マックスで発揮されようとは思わなかった。
考えてみれば私は今生でも
こちらへ来てからも
尊敬されるということが全くなかった。
つまり私は尊敬されることに
免疫が皆無なのだ。
ましてや信仰されるなど論外だ。
「それでそんな
東北弁になってしまってるのか」
「へぇ。ほんに
めんぼくねぇごどでございますだ」
「仕方がないな。船場吉兆でいくか」
「そいづぁ、どういう意味でございましょうが?」
「まずその東北弁を辞めろ」
「へぇ」
「そして今から僕が囁いた通りに喋れ」
「そいづぁあの、あんたさ
囁き女将さなるっつごどで
ございましょうが?」
「良いからさっさと標準語に戻れ。
あと顎を上げろ。王は下を向かない」
そう言うと絵守は影のように
私の後ろに回り込んだ。
私は、とりあえず
顎だけを不自然に持ち上げた。
寝違えた人が必死に
首の位置を戻そうとするような感じだった。
私がグダグダとしている間も
依然として神殿は静まり返ったままでいた。
ついさっきまで石礫やら怒号やら
血潮やらで煮え返っていたこの場所が
不気味なほどの沈黙に包まれている。
彼らは待っている。
何か決定的な言葉が
発せられるのを待っている。
息を潜めて、神が何を言うかを待っている。
一万の目が
一万の願いを込めて私を見ている。
その先には
どうしようもない私が歩いている。
否。突っ立っている。
ダメだ。
思考が自由律俳句に逃げようとする。
私が種田山頭火のような
豪気な性格ならよかったのに。
どうして尾崎放哉のような
偏屈甘ったれの方を引いてしまったんだ。
障子を開けてみれば何もない。
嗚呼、本当に何もない。頭が真っ白だ。
私という人間は空っぽだ。
空虚だ。
言葉使いの癖に
言葉が出てこないんじゃ廃業だ。
何が文人だ。
文鎮の重みにも劣る文句しか書けない癖に。
嗚呼、私が私を苛んでいく。
ネガティヴレインボーが
空に汚らしくかかって天を辱めている。
全身から汗が吹き出す。
指先が震える。なんか頭痛までしてきた。
足元がふらつきそうだ。
そして相も変わらず胃が痛い。
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嘘つき同士の友情・最期の晩餐
希望と空虚・臆病者
据え膳食わぬは男の恥・正解と正しいは違う
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外に出ると
空気はすでに夜の深さに沈んでいた。
史実であれば明日に
十字架を引き摺り歩かされる終わりの道を
十二使徒と私の一行は
立ち止まることなく進んでいた。
忌まわしきゴルゴダの丘を
己たちは横目に捉えながら
ただ通り過ぎる。
「こっちだ」絵守の声に、迷いはない。
民家の二階で晩餐という名目の
作戦会議を終えた己たちは
暗がりの中
エルサレム市内を抜けて城門から外へ出で
目的の場所へと向かっていた。
キドロンの谷を挟んだエルサレムの東
神殿の真正面に位置する
奇襲に打ってつけの場所。
オリーブ山の丘である。
また、水面下で別の影も動いていた。
絵守が四方八方随所にばら撒いた噂である。
「今夜、イエスはベタニアにいる」
「いや、下町に潜んだ」
「捕らえるなら、急げ」
形を持たない噂は何処へでも
何処までも入り込む。
ローマ兵も、神殿の者も
その曖昧模糊に振り回され
実体のない影を追って散っていた。
その甲斐あってか
己たちはデマの間隙をすり抜けて無事
丘へ辿り着いた。
?
丘の上に、静かな塊があった。
「整っております」。
シモンがそれに向けて
一足先に歩を進めながら言った。
近づくにつれて、塊は群れとなり
ひとりひとりが
呼吸を持つ集団へと変わった。
熱心党のゼイロータイ。約一千五百。
全員が、短剣・棍棒・錆びた刃を携え
簡易ではあるが最低限の武装をしている。
全員が私を見ると
キラキラした、輝く未来に夢を馳せる
上京前の大学生みたいな瞳を向けてきた。
なんだかまた胃が痛くなってきた。
「こうやって見ると何だか思った以上に
壮観でございますわね」
「しっかりしてくれよ。
連中の士気は君の佇まいにかかってるんだ」
自然とシュリンプ気味になっていた
背中を絵守が叩く。
「でも僕は今さっき来たばかりの
益体もない新参者でござんすよ」
「いいから何が起こっても
泰然自若と胸を張ってろ。
君は僕ら彼らの信仰そのものなんだ」
他人事だと思って簡単に言ってくれる。
否。他人事ではない。
私の態度に皆の命がかかっているのだ。
私は家系ラーメンの暖簾にプリントされた
店主くらい踏ん反り返って腕組みをし
無駄に高圧的な顔を作って肝を引き締めた。
?
「さて、どこまで増えるかな」
絵守は遠く周辺全体を見渡し始めた。
丘の背後。側面。正面。
それぞれに別の流れができていた。
市内から巡礼者たちが
少しずつ、しかし絶えず上ってくる。
その誰もが「イエス様のために!」
みたいな顔をしている。
命を擲つ覚悟の顔である。
三千、四千、五千。まだ増える。
数が気配へと変わり
丘が駐屯地に変わっていく。
せっかく踏ん反り返らせた
骨盤がまたシュリンプしそうだ。
「この世をば我が世とぞ思ふ
陳は望月の欠けたる国家なりと思えば
尊し我が身の辛さ」
私は無意識に稀代の調子コキである
藤原道長やルイ十四世の
太々しい魂へ連帯を試みた。
その残滓は、わけのわからぬ
減らず口の戯言となって外に洩れ出ていた。
「いきなりどうした?」
「いや、何とかこの責任というか重圧というか
そういうのに対抗しようと思いまして」
「そうか。気が触れて
自由律俳句に逃げるのだけはやめてくれよ」
他人事だと思いやがって。
嗚呼、咳をしても一人。
?
同時刻。
街の中では、見えない手が動いていた。
門番が、ほんのわずか目を逸らす数刻。
路地の石が崩され
行き止まりは通路へと変わった。
内通者たちである。
彼らの手によってエルサレム市内の道は
極端に狭く
しかし抜け道は血管の如く張り巡らされた。
「可哀想に。
これじゃろくに隊列も組めないな」
「代わりに俺らは神出鬼没の自由自在だ」
蜂起決行前日の深夜深更。
名前を持たない、誰でもない彼らが
都市の脈をその手に握っていた。
?
暁が差す。
夜と朝の間が、最も曖昧な頃合い。
その境界を、唐突な角笛の音が引き裂いた。
空気が大きく揺らいだ。
低く長い、心をざわつかせる音色。
間を置かず、更に続けて角笛の叫び。
二の矢は鋭く短く響いた。
瞬間、咳を切ったかのように
時が流れ出した。
丘の上の者たちが、一斉に動き出す。
市内に潜伏していた巡礼群衆が
同時に城門へと向かう。
内通者がその閂を外した。
坂を下る数千の群れは
勢いそのままに外側から門に突っ込み
これを押し開いた。
内外の勢力が合併しながら
濁流のように市街を押し流していく。
「神殿へ!」絵守が叫ぶ。
その声は次の声、また次の声へと伝播し
増殖した言葉はひとつの
大いなる意志の矢となって神殿の門を直撃。
いとも容易くこれを打ち破った。
前庭に第一波が雪崩れ込む。
神殿警備隊が慌てて隊列を組み
槍を構える。彼らの行動は正しかった。
しかし正解ではなかった。
数が余りにも足りない。
三方から押し寄せる群衆の波。
どんなに知恵を絞った陣形を拵えようと
洪水の前には意味すら虚しい。
石礫が舞う。棍棒が落ちる。
短剣が布の隙間を探る。
混乱は、秩序をより早く呑み込んだ。
やがて第二波、第三波が続く。
数千が流れ込む。神殿は一瞬で蹂躙された。
この時、イエス軍の数は一万に達していた。
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?アカリ?
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お題:異世界転生・歴史探訪
嘘つき同士の友情・最期の晩餐
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正解と正しいは違う・推し活沼
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「それで、結局こっちの戦力は
どれくらい集まりそうなの?」
「それに関しては主の起こした奇跡が
大いに功を奏してくれたよ。
まずガラリヤ出身の武装信徒が約千五百。
巡礼者の群衆が約八千。
ローマへの内通者・都市からの
協力者が数百人。
それから、我らが同士
シモンの手柄が加わる」
「はい。我が朋友のゼーロータイ
存分にお役立てください」
白髪で髭もじゃのおっさんが口を開いた。
「このシモンはローマの元徴税人でな。
加えて熱心党の党員でもあるんだ」
「熱心党?ゼーロータイ?」
「シモン。主は今ちょっと
記憶がござっている。
熱心党について説明してやってくれ」
「がってんしょうちしました」
党名のダサさと
シモンの変な言語感覚に
突っ込みを入れたかったが、やんぬるかな。
今はそのダサい奴らに
私たちの命運がかかっている
っぽいから仕方がない。
私は熱心にシモンの話を
傾聴することにした。
「熱心党はローマに対する
武装抵抗組織でございます。
イエス様が一声かければ
そのカリスマで群衆を
数千単位で動かせるでしょう。
我が信徒からも千人は動員できます。
加えて熱心党は神殿勢力と
決裂していますので、
即イエス様の地下武装勢力に
組み込むことが可能でございます」
「僕は熱心党って呼び方が
あんまりつまらないから
ゼーロータイとしか呼ばないがね。
まあそんなことは置いといて。
つまりは我が軍は暴徒+信徒の複合軍。
ざっと足して一万ってとこかな。
正規兵こそ少なく統制も弱いが
主の奇跡の甲斐あって
ひとりひとりの士気は異常なほどに高い。
戦場を最も左右するのは軍の士気だからな」
絵守の顔がほくそ笑んだように少し緩んだ。
やはり絵守もダサいと思っていたことに
少し安心した。
腐っても芸術家同士ということか。
いや、違う。
ただ単に誰が聞いてもダサいだけだ。
高輪ゲートウェイくらいダサい。
なんかもう慣れたけどさ。
慣れって恐ろしいね。
慣れは万民をも熱心党員に
狩立ててしまうのか。
私も今生に戻ったら
神頼党とか興してみようかしら。
ダメだ。
少なくとも私の神は全然頼りにならない。
じゃあ駄神党とか?
ダメだ。
今より増して嫌がらせされそうだ。
次ヘリオガバルスとか
ジョン王とか徽宗とかに
転生させられたら堪ったもんじゃない。
というか今は神がどうこう
言ってる場合ではない。
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「でも敵兵は一万二千から五千なんでしょ?
数ですら負けてる上に
相手は全員、練兵されてる正規軍。
厳しくね?」
私はどうしても心配になって
質問が意地悪な感じになってしまう。
こういう臆病者が上官を切れさせたり
記者会見でアスリートに要らん質問をして
退席させたりするんだろうか。
インタビュアーも大変である。
しかし絵守や競技者の大変さに比べれば
私たちのそれは大変というにも値しない
蚤の喰ったようなものであるため
私はもうこの小説の主人公を絵守にして
己は語り部になった方が
いいんじゃないかしら。
なんて無責任なことを考えていた。
「それがそうでもない。
実は今宵は最後の晩餐と言う名の
武装蜂起の最終会議だったんだ。
主がそれに是と示してくれるかどうかが
最大の懸念事項だったが
君が主に代わってくれた僥倖のお陰で
それも心配なくなった。
これで作戦通りに事を運べる。
いいか。大事なポイントだからよく聞け。
まずローマは常に内紛状態にある。
そして二代目ローマ皇帝ティベリウス。
ヤツが人間不信になって
カプリ島に引き籠って王座に帰らず
外から統治命令を
下すようになってから四年。
そんな引き籠り皇帝への不満のしわ寄せは
民衆に、貴族に、軍人に、王宮に
今もなお留まることなく溜まり続けている。
その爆発点が、明日だ。
明日、同時多発的に
各地で反乱が起きるよう
調整に調整を重ねて仕向けてきた。
『ローマが最も弱っている瞬間に蜂起』。
これが切り札だ。武力だけでも勝てない。
思想だけでも勝てない。
ならば、民衆の蜂起と行政の
崩壊の挟み撃ちなら?
ここだ。俺たちは内側が決壊している間に
外側を叩く。
卵を叩き割って、茹で上がる前に
ドロドロの中身を出し尽くしてやるのさ」
?
私は痺れるような感覚で
絵守の言葉を聞いていた。
彼がここまで練り上げるのに
ここまで準備するのに
ここまで考え至るのに、一体この三年で
否、この出鱈目な夢幻転生世界の中で
どれだけの艱難辛苦があっただろうか。
私などには想像もつかない。
卓の前に立つ絵守が
かつての友人とは思えない
頼もしい輝きを放っている。
私は何処で彼と
これほど差がついてしまったのだろうか。
それは私がただただ
怠けていたという一言で片付く話なのだが。
そんな私の心中を知ってか知らずか
絵守は堂々と言葉を続けた。
「今、ローマには
皇帝ティベリウスが不在の状態だ。
そんな中で、その権限を
半ば無理やり
引き継がされている地方官を打倒すれば
後はどうなると思う?
帝国は総崩れさ。
なあ筆山。言っただろう。
ポンティウス・ピラトさえ倒せば
君の王権も夢ではないと。
それに今、お前はイエス・キリストなんだ。
その気になれば
奇跡だって起こせるかもしれない。
期待してるぜ」
確かに私は今どうやら
イエス・キリストらしい。
しかし器がそれでも魂は月と鼈。
天皇陛下と穢多非人。
学園マドンナと不可触民だ。
それでも私に奇跡は起こせるのだろうか。
それってプーラン・デヴィのように
シュードラの身でありながら
ビーマイ村で二十二人の
上位カーストを駆逐し
クシャトリアである
シュリ・ラム兄弟を滅却させ
低カーストの希望の光として
『義賊の女王』と呼ばれ
称えられるくらいの偉業を為して
魂のレベルをめっちゃ上げないと
難しいんじゃなかろうか。
絵守は続ける。
「十三と言う数字が縁起が悪いとされるのは
この最後の晩餐が由来だ。
十三人で食事をすると一人死ぬことになる。
ってね。だったら一人も死なせなきゃいい。
十三を呪われた数字になんかさせない。
君が転生したジャンヌ・ダルクも
神の声を聞いたのは確か十三の頃だ。
君が守ろうとした彼女の誇りのためにも
この数字を
僕らで呪いから守ってみせようじゃないか」
私は黙って頷いた。
私は私ことかつて私だった
ジャンヌ・ダルクが
稀代のヤリマンとして
イングランドに寝返ったことを
歴史の彼方へ葬り去り
現世に戻ろうとこれを
一切一生口外しないよう、己に固く誓った。
私はいつかこの身を
地獄の業火で焼かれるに違いない。
嗚呼、私はパンになりたい。
どうせ焼かれるなら
生まれ変わって焼きたてのパンになりたい。
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お題:異世界転生・歴史探訪
嘘つき同士の友情・最期の晩餐
希望と空虚・臆病者・快楽に溺れる
据え膳食わぬは男の恥
正解と正しいは違う・推し活沼
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「良かった。実は安心しているんだ。
君が主と入れ替わらなかったら
主は僕の進言を聞き入れてくれない
可能性が高かったからね。
歴史は簡単には覆らない。
それは君もよく知ってるだろう。
だが、君と僕ならば
歴史の外から来た僕たちならば
チャンスはある」
絵守は真実ほっとしたような顔を浮かべた。
確かに、本来のイエス・キリストであれば
戦争の申し出を受ける可能性は
極めて低かっただろう。
そこへ悪魔根性の権化のような
私が入って来たのだから
これは私にとっても絵守にとっても
千載一遇のチャンスなのかもしれない。
「しかし、戦うと言って
相手はユダヤの司教たちに加えて
ローマ帝国そのものだろう?
勝てる見込みはあるのかい?」
「そうだな、まずは
敵勢力について把握しておこうか。
まずはユダヤの内部抗争だ。
大祭司のカヤパ。
神殿貴族のサドカイ派。
そしてパリサイ派。
まずこいつらを叩き潰す。
しかしこれを
ローマ帝国が放ってはおかない。
内戦勃発の事態を把握すれば
皇帝ティベリウスは鎮圧のため即刻
ユダヤ総督を派遣してくるだろう。
ポンティウス・ピラト。
史実でキリストの処刑を決定した
ローマ軍官吏だ」
「その敵勢力は結局
全部でどれくらいなんだ?」
「全て合わせて、まあ一万二千…
多くて一万五千というところだろう」
「無理じゃん」
「だがピラトの軍さえ打ち破れば
ティベリウスを出し抜いて
君が王座に君臨することも夢ではない」
「だからさぁ
こっちにそんな戦力ないじゃん。
寝言は寝て言えって。
いや今己たちは寝てんのか。
失敬。前言撤回するよ。
夢だからって夢みたいな寝言ばっか
ほざいてんじゃねえよ能天気野郎。
そんなだから今までも
失敗してきたんだろうが。
学習能力ないんかカス」
?
絵守がなんだかシゴデキみたいな感じで
主人公の座を乗っ取られそうな気がした私は
本能的に絵守に対して
罵倒の言葉を浴びせていた。
少しでも絵守の評価が落ちないかなぁ
という稚拙な心理欲求から出た
ラインを越えた言動に
私は己がことながら己にちょっと引いた。
そして、こんなことだから
毎回読者に嫌われるんだと、一瞬自戒した。
が、言ってしまったものは
もう取り返しがつかないので
私は開き直ってこのまま
無責任なアウトローを貫こうと
刹那の決心をした。
私だって限界なんだ。
文句があるなら
転生してから言ってくれたまえ。
って、私はさっきから
誰に向かって何を言っているのか。
しかして、絵守は偉かった。
私の質の悪い悪態を受けて尚
彼は一切心乱すことなく
私の問いにあくまで真摯に応えた。
「言っただろう。
僕はこの日のために三年間
準備をしてきたんだ。
具体的にはそうだな。
まず君が主の中に入るまで
主にできるだけ力を使わせるよう仕向けた。
主の力は本物でな。
まさに奇跡を起こせたんだよ。
それで兵糧の足りない地方に行っては
片っ端からパンを出して与えた。
流行り病が起こった地方に行っては
片っ端から病を治した。
戦争があれば兵士たちの傷を
片っ端から治した。
天候が乱れそうな時は
嵐を止めることもした。というかさせた」
「なにそれ。チートじゃん」
「それがそうでもない。
主は力を妄りに使うのを良しとしなかった。
そこで僕はあの手この手で主のご機嫌を操り
なんとか『妄りに力を使う』
ように仕向けてきたのさ。
正直、これが一番骨が折れたよ。
なにせ主は堅物だからな。
そう簡単に乗りこなせる馬じゃないんだ」
「救世主を馬扱いか。随分と罰当たりだな」
「それくらいの胆力がなきゃ
この戦に勝機を見出すこと
なんてできないよ。
僕は幾度もの失敗で学んだんだ。
どんな手段でも使わなきゃならない。
勝利するに最も邪魔なものは
人間的な躊躇だということを」
なんだか絵守が遠い人のように思えてきた。
こいつは本物の戦士だ。
幾多の戦場が彼を叩き上げたのだろうか。
兎角、認めざるを得ないのは
絵守の器の大きさだ。
それに比べて私はどうだ。
私は私のお猪口にも劣る器の小ささに
己のことながら辟易した。
しかし、持って生まれた器量は
今更変えられないので
男らしくこれを受け入れ
これからも己の小ささに一々文句を言わず
開き直って積極的に人の
揚げ足を取って行こうと
刹那の誓いを神と交わした。
その誓約書を受け取るや否や
即シュレッダーに投げ込む神の姿が
瞼の裏に見えた気がして
私はいつか神殺しの大罪人
となるやもしれぬと夢想した。
?
?アカリ?
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「そうか。
君は僕より厳しい運命を経てきたんだね。
僕は仲間たちだけが頼りだった。
良い奴らだった。
僕を最も苦しめるのは
彼らに対する贖罪の気持ちさ。
でも君は違う。
君には信用できる仲間さえいなかった。
よしいたとしても
彼らが齎したのは手酷い裏切りだった。
それがどんなに辛いことか。
それは僕には想像もつかない苦しみだ。
君は僕が予想した
何倍もの七難八苦を越えてきたんだね。
きっと、今の君になら
凄い作品が書けるはずだ。
僕はそう信じる。
それほどの痛み苦しみを内包した筆に
深淵なる魂が宿らないはずがない。
元の世界に戻れればきっと
君は僕なんかの名声を
秒で追い抜く大文筆家になるに違いない」
やめろ。やめてくれ。
胃が痛くて張り裂けそうだ。
キャベジン、ガスター
パンシロン、ボラギノール
…違うそれは痔のヤツだ。
とにかくこのままだと胃が破裂して
胃液で体内から溶解して
元々スカスカな中身が
内実ともにスカスカになってしまう。
?
「ところで君はいつからこの世界に
このなんか陰湿な連中と
どれくらい一緒にいるんだい?」
私は話頭を転じた。
そう、過去の罪障の話を続けて
その呵責に苛まれ
こんなところで消化液に塗れて
果てるわけにはいかない。
今は今のことだ。
頭に血が上っていて
気が向いていなかったが
そもそもここは何処だ?私は誰だ?
「僕はイスカリオテのユダ。
十二使徒として主と共に
三年に渡り旅路を歩んできた。
その主と言うのが君なんだがね」
「嗚呼、そうか。
僕はついさっき
この身体に入ったばかりでね。
じゃあ僕はイエス・キリストってことかい」
「そういうことになる。
皮肉だな。友に裏切られてきた君が
現実の友の私と出会った。
その僕は裏切り者のユダだ」
「ということは君はまた
僕のことを裏切るのかい?
いやもう裏切ってるのかい?
だってこれって最後の晩餐ですよね。
明日には僕、ゴルゴダの丘で
茨の冠冠って処刑ですよね。
君は三年前からそれをわかっていて
史実通りにことを進めるのかい?」
「それは君次第だよ」
「へ?どういうこと?」
「僕はこれ以上
悲劇を繰り返したくはない。
三年間、その準備を秘密裏にやってきた。
史実で主が処刑されたのは
彼が全ての罪を背負って
死ぬことを選んだからだ。
戦うことを選ばなかった。
実はユダは主に立って
戦って欲しかったんだ。
対立する元凶たちとね。
ユダ・イスカリオテは
ユダ・シカリとも読む。
シカリとは短剣の男を意味する。
そしてシカリ派という
対ローマテロリスト集団がある。
彼らは服の下に短剣を隠し
人込みで刺して逃走する。
つまりイスカリオテとは
裏切り者の名に非ず。
ローマを刺す短剣を隠し持つ者。
イエス・キリストを奮い立たせ
革命を起こすための起爆装置の呼び名だ。
どうかね。君は戦うかい?
君が戦うというのならば
三年間の私の苦労も報われるんだが」
「僕はとにかく死にたくはないよ。
ましてや、いきなり転生して
何の手を打つ暇もないまま処刑されるなんて
理不尽が過ぎるじゃないか。
僕は自慢じゃないが己が怒りのためなら
平気で奇跡も悲劇に変えれる男なんだ。
何故か知らないがそういう変な自信
というか確信だけはある。
それに戦争は初めてじゃない。
僕は多分、前世か何かで
最も悲惨な戦争の最前線にいたんだと思う。
時々頭に蘇るんだ。
頭を掠める弾丸の薙いだ風。
突撃してくる戦車の地鳴り。
手にかけた敵兵の断末魔。
でもあの地獄は
僕の中でまだ終わっちゃいないんだ」
「じゃあいい加減
この悪夢を終わらせるかい?
信じて僕の手を取れるかい?」
「もはやそれしか道がないというなら
そうしようじゃないか」
私は右手を絵守に差し出した。
ともすれば絵守が
殴り返してくるかもしれないと覚悟したが
それは私が前世で犯した
過ちの残像に過ぎなかった。
絵守は厳かに右手を返してきた。
薄暗い広間の中央で
私と絵守は初めての握手を交わした。
彼の手は
想像していたより随分と分厚く
頼もしく思えた。
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?アカリ?
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「…ありのままを画布に顕すのが
画家の仕事だ。
君はそれを利用して
有名になってくれればよかった」
ボコボコに腫れた顔で鼻血を垂らしながら
絵守は呟くようにそう言った。
「なんだと?僕を刑務所送りにしておいて」
「君の拳は効いたよ。
でも君の文学には刺激が足りない。
裁判や刑務所での生活。
文人にとってこれほど垂涎な題材はない。
それに、その経験を経た君の筆は
痛み苦しみを経て
覚醒するだろうと期待した。
それでわざわざ私財の大半を投入してまで
あんな茶番な裁判を拵えた。
でも君は出獄後に何もしなかった。
一冊の本も執筆しなかった。
僕は君がそんな
残念な男だとは思わなかった。
実に失望したよ」
怒りが理性を塗り潰していく感覚が
体中に広がる。
飛び掛かろうとするが
陰キャ軍団数人に取り押さえられた痩躯に
これを振りほどけるほどの膂力もなかった。
クソ。
どうやら私は、ここ一番で
最悪の体躯を引いてしまったらしい。
「戯言を抜かすな。所詮は全部
お前の私的感情による仕返しだろうが」
「嗚呼、そうだよ。それは否定しない。
君に殴られた勢いで
後頭部を床に強か打ち付けたせいで
僕はくも膜下出血になったんだ。
趣味のクンクメールも
もうできなくなった。
次の月には憧れの
ムエタイレジェンド・センチャイ選手との
試合が決まっていたのに。
ドクターストップさ。
嗚呼、夢が壊れました。
君にその夢の穴埋めができるかい?
できやしない。
今だって、この身体じゃなきゃ
脳の血種が破裂してお陀仏だったよ」
「だったら今ここで
僕が君の相手になってやる。
織田信長、劉備玄徳、ジャンヌダルク。
数多の英雄の伝説を打ち砕き
灰燼に帰してきたこの拳
そのムエタイレジェンドの
おっさんの拳とどっちが重いか。
その身で確かめてみろ」
?
「…なるほど君も僕と同じか」
絵守が鼻血を服の袖で拭いながら
ゆっくりと立ち上がった。
「なんだと?どういうことだ」
絵守の目に全てを察したような
なんか大悟したみたいな光が宿っている。
ムカつく。
なんだ物語のキーパーソン
みたいな面しやがって。
相変わらず鼻につくすかしっぺ野郎だ。
「僕も色んな歴史を破壊してきたよ。
気付いたら僕は
アレクサンドロス大王になってた。
だがグラニコス河畔で
傭兵隊長メムノンにすら敵わず敗走し
マケドニアは滅びた。
フリードリヒ大王になっては
三人の女帝にボコボコにされて
プロイセンを陥落させた。
閻魔大王になっては
地獄に来たフリーザに瞬殺された。
僕なりに全身全霊を賭してやった結果が
悉く英雄たちの顔に泥を塗る有様さ。
自分は凡人だと
つくづく思い知らされたよ」
なんということか。
絵守も私と同じ境遇
どころか絵守はきちんと目の前の問題から
逃げずに戦ってきたと言う。
それに絵守は何故か
大王にばかり転生している。
神はこんなところでも
絶妙に嫌な依怙贔屓をしている。
なんだか益々神のことが嫌いになりそうだ。
まあしかし俺のやってきたことを
鑑みればそりゃ納得なんだけどさ。
でもサイコロは振ってみないと
どんな目が出るかわからないじゃない。
そこんとこどうお考えなんですかねぇ。
ねぇ神様よ。
なんて天に向かって唾を吐いていると
絵守が話の流れでとんでもない問いを
私に投げかけてきた。
「君もそうなんだろう?
懸命にやっても
英雄のように、そう簡単に
運命は変えられなかったんだろう?」
?
急な精神的奇襲に私は周章狼狽した。
しかしここで取り乱すわけにはいかない。
しかしながら考えれば必ずや取り乱す。
というわけで私は考えることを放棄して
喋ることのこれ一切を
オートマティックな口先に委ねた。
「ええ?嗚呼、そりゃもう大変だったよ。
信長の時は秀吉が今川に寝返って捕らえられ
劉備の時は諸葛亮と関羽の喧嘩を
仲裁しようとして叩き斬られ
ジャンヌ・ダルクの時は
色気づいたシャルルに犯されて
神の声が聞こえなくなった。
英雄と称えられた
偉人の本性がこうも浅ましいとはね。
今生の時分に君にやられたことよりも
よっぽど酷い裏切りの連続さ。
ぼかぁもう
いよいよ人が信じられなくなりそうだよ」
私は戦慄していた。
何がって、己のこの
悪魔のような性根の腐り様にである。
絵守は、目を見ればわかる。
奴は本当に一生懸命、運命に抗おうと
英雄たらんとして勇気を振り絞って
震える足を奮い立たせて戦った。
負けても、負けても、諦めなかった。
それをば私ときたら何か。
最初の最初から鬱を口実に諦めから入り
ただただ怠惰と淫蕩に耽り何もしなかった。
その癖、あろうことかその上から重ねて
尊き英雄に汚名を着せて己が卑劣を誤魔化し
首を垂れるべき偉人に
罪を擦り付け続けている。
しかもその魂胆は偏に
絵守なんかに見下げられてたくないという
矮小極まる保身の一心からである。
己はそれで良心が痛まぬのか。
痛い。もう胃がキリキリする。
というか最初から胃弱なのだろうか。
この身体はどこまで脆弱なのか。
いや、脆弱なのは己の心より他ない。
これ以上、他責を重ねては
流石にふてぶてしい己の心も
その下劣さを保てない気がしてきた。
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?アカリ?
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長い卓が
まるで石のように静かに横たわっている。
私は、その中央に鎮座していた。
左右に、十二の男たちが波のように連なる。
背後に並ぶ窓から
夕刻とも夜ともつかぬ淡い光が差し込み
その者たちの輪郭を
冷ややかに浮かび上がらせた。
陰気な、実に陰気な奴らだった。
これは、嗚呼、あの時の
桶狭間前夜のヤタケタ酒宴の時のようだ。
あの酒宴は酷かった。
盛り上がりもクソもなかった。
今から死のうってのに
もうみんな己の葬式を始めているような
そんな暗くて陰鬱で
酒はノニジュースのような飲める地獄と化し
肴はシュールトレミングの如き
腐った臓腑の風味を醸し出していた。
私が宴席を盛り上げようと
洒落を言っても悉く駄々滑り
部屋は風もないのに
地獄の冷気に包まれているかのような
有様だった。
あんなコキュートスな宴はもう懲り懲りだ。
というかなんだ今度は。
私は女として
うまくイングランドに取り入って
さる侯爵の愛人として
安泰な生活を手に入れたはず。
なのになんでまた
別世界に飛ばされなきゃならんのだ。
帰せ。私をドンレミ村に返せ。
大体なんだこの胡乱な衣は。青と赤って。
進むのか止まるのかはっきりしろよ。
もしくは中間とて黄金色とかにしろよ。
蒼ざめて血に染まるみたいな暗示かこれは。
なんか卓にはパンと杯置いてあるけども。
なんだこんな粗末な食事。
こんなもんが最期の晩餐とか正気ですか。
と思って男たちの顔を見渡した私の目は
ある一点で止まった。
一瞬にして顔が蒼ざめた。
次の一瞬で、顔色が血の気一色に染まった。
私の右隣。
長髪の陰キャと
白髪のおっさんのその向こう。
そこに、絵守がいた。
奴の顔は
バタ臭い西洋人のものになっていたが
私にはわかる。
何故かわかる。
何故かは知らんが
とにかくこいつは絵守だ。
青い外衣を身に纏って項垂れていた絵守は
しかしてやがて私と中空で目が合った。
絵守の方でも私と同じ
知覚現象が起こったのであろう。
数舜おいて、奴の顔色が
一瞬にして外衣と同じ色に染まった。
気付くと私は卓を乗り越えて
絵守に飛び掛かっていた。
?
「貴様!
ここで会ったが百年目だこの野郎!」
私の右ストレートが絵守の鼻っ柱を
マトモに捉えた。
絵守は椅子ごとひっくり返って吹っ飛んだ。
なんだか知らないうちに
私のパンチは何人もの人を殴り
屠ってきたかのように鋭くなっていた。
おかげでいつぞやの時のように
手首を捻らずに済んだ。
って、あれは私の妄想の中の話だった。
いや、違う。
私はその後に現実でこいつをぶん殴って
豚箱送りになったのだ。
その時もしっかり手首をグネっていた。
しかし
なんとも清々しい気分じゃあないか。
このわけのわからん
夢の世界に来てからというもの
数多の時代で、私は何度
この顔を殴ってやりたいと
神に願ったことか。
それに、この世界には
悪辣な公安もヤメ検軍団もない。
ざまあみやがれ。
嗚呼、夢が叶いました。
否。否否否。
こんなもので済むと思うなよ。
もしこいつをここで仕留めきれずに
元の世界に戻ったりしたら
こいつはまた前と同じ手口で
俺を豚箱に送ろうとするに違いない。
そうはいくか。
その前に
トニーと同じところに逝かせてやるよ。
…って、誰だそれ。
記憶を混濁させながらも
私は勢いそのままに絵守を追撃。
馬乗りになって
奴の顔面をパウンドで殴打した。
「貴様がッ!死ぬまで!
殴るのを辞めないッ!」
「イエス様!お気を鎮めてください!」
「主がご乱心だ!」
「はやくユダから引き離せ!
死んでしまうぞ!」
十一人の陰キャが慌てて止めに入り
私を羽交い絞めにした。
「離せ!
そいつだけは生かしちゃおけねえ!」
「ではイエス様の言う裏切り者とは
ユダのことなのでしょうか?」
「裏切り者?嗚呼そんなもんじゃ済まねえ。
こいつは俺の名誉と引き換えに
己が地位を手に入れやがった
悪辣な簒奪者だ」
そこまで言って
私は息が続かなかなくなった。
どうやらこの身体の持ち主は
大してフィジカルに余裕がないらしい。
?
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気が付くと、私は木骨と土壁でできた
梁むき出しの粗末な家の
これまた更に粗末なベッドで
仰向けに寝かされていた。
「気がついたかい。
まあしばらく股に布押し当てときゃ済むよ。
これであんたも女だね」
中年の女が古布を
何枚か枕元に置いてそう告げた。
あれがおそらく私の母親だろう。
そしてこれは初潮というやつか。
つまり私は、なんということでしょう。
女になっていた。
性別まで変えるなんて、いくら神でも
適当が過ぎるんじゃないかしら。
しかしこれは、私の昔からのある疑問を
確認できるチャンスでもある。
それは何か?
性的な興奮の問題である。
言うな。私は決して変態ではない。
だが、全男性紳士諸君を
代表して敢えて言おう。
男と女が入れ替わる物語は
古今東西に数多ある。
しかして、それに劣情を覚えた
という描写は稀有だ。
私はずっと思っていた。
「そんなわけあるかい」と。
こんなうら若き乙女の体が目の前に
否、自分自身であるのに
これを楽しまない
インポテンツがあるものか。
ということで私は
己の全身をまさぐってみた。
断っておくが
決して厭らしい気持ちからではない。
これは性科学向上のための貴重な触診であり
私は人類の偉大なる飛躍の礎となるため
甘んじてこの変態の謗りを
免れないような行為に
殉職の如き精神で以て
この身を捧げているのだ。
それでも私を非難する者があるならば
よし私も男だ。
その挑戦、受けて立とうじゃあないか。
私は逃げも隠れもしない。
そして今の私は女だ。
もし少しでも乱暴に触れた男があったなら
即豚箱行きだ。
さあ、大声を出されても良いなら
どこからでもかかってくるがいい。
?
ところが、己の身体と認識するや否や
私の精神はもはやこれに
何の劣情も起こそうとしない。
股間もすっかり大人しい。
あいや、そういえば
今の私は竿なしなのだった。
それにしてもズキズキする。
何だか何もかもどうでもよくなってきた。
正直に言うと、私はこの夢のような展開に
期待と股間を膨らませていた。
あいや、股間はズキズキするだけだけど。
それでも見果てぬ情欲に
胸がときめいていたのだ。
ところが、なんですかこれは。
ただの私じゃないですか。
私が私に興奮するわけがないでしょう。
嗚呼、もう嫌だ。夢が壊れました。
今考えてみれば
なんて汚らわしい発想なのかしら。
己がことながら軽蔑しちゃうわ。
そんなね、己にむしゃぶりつくくらいなら
豚肉でも買った方が
よっぽど上等でしょうよ。
何故そんなこともわからないのかしら。
大戯けめ。恥を知りなさい。
っていうかね。
ぶっちゃけ私、多分これ
ジャンヌ・ダルクなわけじゃないですか。
そんでまぁ、この、女の身体の大変さ?
凄いじゃないですか。
こんなしんどい身体引き摺ってね。
地元の軍事拠点まで行ってね。
そこの守備隊長、説得してね。
そこから幾つもの
イングランド領、掻い潜ってね。
地獄のような道のり経てね。
シャルル七世に会ってね。
オルレアンで頑張ってね。解放してね。
シャルル助けてやってね。
それから数多の戦場で
突撃バーサーカー繰り返してね。
そんで最終的にシャルルに裏切られてね。
見殺し火炙りとかね。誰がやるかってね。
そういうことをね。私は言いたいのね。
わかりますよね。ね。ね。
?
ドンレミ村の朝は早い。
六時には羊や牛の世話。
家事全般に教会通い。
気が付いたら一日が終わっている。
田舎は地味でも都会より忙しい。
殊にここ中世フランスとなると
忙しいどころじゃない。
事ある毎に
ブルゴーニュ派の敵兵が攻めてくるし。
その度に山間や谷間にスタコラ避難。
戻ってみたら略奪に放火。
逃げ遅れたが最期。
犯され殺され放火され
無事でいるのは教会くらい。
なんだか祈るのも馬鹿らしくなってくる。
私がここ、ドンレミ村に来てから
かれこれ2年が経とうとしている。
そう、私は
ドンレミ村から一歩も出なかった。
「ジャンヌ、もう声は聞こえないのかい?」
「はぁ?なんのことでしょうか?」
「いや、あなた。王太子に会いに行くって」
「冗談言わないでくださいよ。
あなたがT-34をおひとつくれる
というなら考えますけど」
「T-34?」
「21世紀の秘密道具です」
「でもフランスを救わなきゃって…」
「まあ、なんて不遜な。
そんな預言者気取りなこと言っちゃ
イエス様から鞭が飛びますよ」
しつこく絡んでくる
井戸端おばさんを冷たくあしらうと
農夫がニヨニヨしながら近づいてきた。
「なあジャンヌ。今晩あたり…」
私は微笑みながら、男の唇に
人差し指を当ててなぞるように撫でた。
私は、あれから
村一番のヤリマンになっていた。
何故か。
ある日、村の男に誘われて
試しに交わってみたら、これが極楽浄土。
男の時には想像もできないほどの快楽。
小指の耳の穴に入れて穿った小指が男
耳の穴が女の感じる快楽だと
聞いた事があったが、そんなもんじゃない。
こればっかりは
両方経験してる私にしかわかるまい。
そしてこの時代には
逞しい農夫がいくらでもいた。
男の時分は
女に柔らかい肌ばかりを求めたものだ。
だが、女になると話が変る。
男の魅力は、鍛え上げた筋肉の硬さである。
その厚い胸板を枕に眠る恍惚は
巨乳枕に勝るとも劣らない。
据え膳食わぬは男の恥…いや女の名折れ。
私の名前は、もはやドンレミ村に止まらず
ロレーヌ地方の名物となり
フランス人はおろか
イングランド兵までもが、私を求めて
遠くから押しかけてくるほどだった。
一体、もう何人の筆卸をしただろうか。
「筆山の、筆を取っても、筆卸」
我ながらキツい一句ができてしまった。
そんな淫蕩に日夜明け暮れ
快楽に忙殺されているうちに
フランスは滅びた。
私はイングランド兵と
ベッドを共にしながら
豪奢なベッドの上で
雅な天蓋を見つめながら
微睡に堕ちていった。
?
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(お題:異世界転生・歴史探訪
嘘つき同士の友情・最期の晩餐
希望と空虚・臆病者・快楽に溺れる
据え膳食わぬは男の恥
正解と正しいは違う・推し活沼)
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「あなた、本当に神の声を聞いたの?」
青龍偃月刀の錆となったはずの私の前に
地味な恰好の
バタくさい顔をした女が立っていた。
外国人。それも一人ではない。
私は西洋っぽい異国で
大勢の老若男女に取り囲まれていた。
全員、随分とボロい恰好をしている。
男は農作業用のシャツとズボンに革靴。
女は長いワンピースかエプロンに頭巾。
みんな似たり寄ったりで田舎臭い感じだ。
そしてなんと、私も周りの女達と同じような
長めのワンピースを身に纏っていた。
馬鹿な。
私に絵守のような趣味はないぞ。
といって絵守にそんな趣味が
あるかどうかは実際知らない。
知らないが、あの男のことだ。
絵のモデルが見つからずに
自分で女物の衣服を着て
鏡の前で色々着替えているうちに
「あら意外と似合うじゃない」
みたいな感じでそっちの道に目覚め
私と会っていた時分にも
ひょっとしたら下に
女性用のランジェリーを身に纏って
得々としていたのかもしれない。
なんて悍ましい男だ。
よし、元の世界に戻ったらきっと
生放送のテレビ前で奴の衣服を剥ぎ取り
その歪んだ性癖を白日の下に晒してやろう。
待ってろ絵守。
お前の出世も私が今生に戻るまでだ。
それまで束の間の栄華を
謳歌しているがいいさ。
くわつはつはつはつ。
なんて文学的な笑い声を
地の文であげている私は
まだ文学に未練があるのだろうか。
なんだか悲しくなってきた。
そもそも夢の中とはいえ
何でこう何度も死ななきゃならんのか。
馬鹿は死んでも治ってないし。
てことは何かい。
私の文学はまだ枯れてないってことかい。
じゃあ私は私の文学に
決着を着けに戻らなきゃならない。
そう、まだ私の人生は
ちゃんと終わっていない。
張り詰めていた思いが溢れ
涙が自然と頬を伝った。
「私は行かなければならない」
口からも、想いが溢れていた。
「またご神託か」
「正気で言ってるのか?
王太子の元へ行くとか
フランスを救うとか」
「でもお前まだ今年で十三だろう」
男達が嘲笑交じりに冷やかすのを遮って
井戸端会議のリーダー格っぽい
オバハン二人が私の弁護を買って出た。
「年なんか関係ないさ。
この子はね、村はずれの妖精の木に
毎日一人で祈ってるんだよ」
「そうさ。この娘ほど信仰心が厚けりゃ
神様もほっとかないだろうよ。
なあジャンヌ、今日も声を聞いたのかい?」
?
なんだ?一体この人達は
何を言っているんだ?声?嗚呼、声ね。
そりゃ毎日聞こえているよ。
あの塹壕戦の時もそうだった。
ん?塹壕戦?なにそれ?
なんかふっとリアルな光景が…
そういえば、元の世界で
希死念慮を誤魔化すために
Netflixでプライベート・ライアンを
つけっぱにしてた時があったっけ。
嗚呼そうか。
あの時も絵守の声が聞こえていた気がする。
これは大賞を狙えそうですぞ!
とかなんとか。嬉しそうにニヤついた顔で。
「声なら聞こえます。かつての友の声。
今の彼はサタンの手先です」
「かつての友?イングランドのことかい?
奴らが友なわけあるかね」
「でも元は同じ国みたいなもんだったろ」
何故か私の独白に共鳴して
井戸端会議が続いていく。
奇跡だ。私は奇跡を起こしている。
さながらオルレアンの乙女だ。
というか私はさっきジャンヌって
呼ばれてなかったか?
それになんだか体が怠い。
凄まじく怠い。
股から何か魂が抜けていく
ような感じがする。
意識が遠くなる。
そして私はそのまま路ばたに突っ伏した。
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?アカリ?
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