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お題:異世界転生・歴史探訪
嘘つき同士の友情・最期の晩餐
希望と空虚・臆病者
据え膳食わぬは男の恥
正解と正しいは違う
?
照り付ける日が石の地面を焼いている。
立ち上る陽炎が
透明な煙のように景色を揺らしている。
青天井で石造り
石柱がまばらに拵えてある
古代の集会所のような大広場。
その中央で、男二人が
ステゴロの大喧嘩をしていた。
「そもそも君が
エルサレムを滅ぼしたせいで!」
絵守のステップインジャブ。
これは目隠しの囮。
本命は右上からの肘打ち。
「ああでもしなきゃ
ローマにすり潰されてただろう!」
筆山は紙一重
スウェーで絵守の右肘を躱した。
そして身体を戻しながら打ち返す
オーバーハンドの右フック。
「それだけじゃない!
君がサタンを無暗に挑発したせいで!」
絵守は筆山の右フックを
内側からストッピングして抑えた。
そのまま反対の腕にも逆手を巻きつける。
首相撲の形。
「僕の背骨は途中から粉々だ!」
絵守の身体が猫のように撓ったかと思うと
筆山の鳩尾へ向かって渾身の右膝が飛んだ。
ゼロ 距離からの不可避の攻撃。
「あいつ、しっかり口撃効いてたのか!
平気面こきやがって!」
筆山はその右膝を
己が左膝で辛うじて捌いた。
そして、その左足を絵守より一瞬早く
彼の左側面奥方へ着地させて踏み込んだ。
抑えている絵守の両腕を反時計回りに捻る。
絵守の上体が斜めに崩れた。
「それだって
君を助けようとしてのことだ!」
筆山は、そのまま軸がブレて
片足立ちになっている絵守の左足を
己が残った右足で思いきり外側から払った。
絵守はたまらず半回転しながら
地面にどうと倒れた。
ここは現代のような
柔らかいリングの上ではない。石畳だ。
転がされるだけでも
背中へのダメージは相当なものだろう。
?
「レオニダス様。両王とも。
いい加減にお止めください」
周りにいた老人たちが
すかさず止めに入った。
更にもう一人、別の老人が進み出て
絵守に肩を貸す。
ぐるりを見渡せば、筆山たちは
二十八人の老人たちに囲まれていた。
彼らは大きく円を描くように整列していた。
全員が革のサンダルに白いローブといった
同じような恰好をしている。
筆山と絵守の二人だけが
素っ裸で戦っていた。
傍に、脱ぎ捨てられた
真っ赤な外套と麻布のチュニック
そして老人たちと同じような
サンダルが落ちている。
もっと大きく広場の外まで見渡せば
至るところで筋骨隆々たる男たちが
素っ裸で木剣を振ったり
木槍を突いたり、隊列を組んだり
どうも戦の訓練らしきことをしている。
筆山は嘆いた。なんということか。
ついに私は裸族に転生してしまった。
ゲヘナでも服くらいは着ていた。
堕ちるところまで堕ちたと思っていたのに
まだ下が隠されていたなんて。
否、下は全然隠れていないのだが。
「なんですか、大事な会議中に。
王同士で拳闘を始めるなど」
絵守に肩を貸している老人が
狼狽気味に言った。
「テルモピュライへの出兵、如何にするか。
我らが威信を守るためにも、王のご決断を」
中央の堅物そうな老人が
真剣な顔で迫ってきた。
「なるほど。地獄の次はテルモピュライか。
神も随分とスパルタだな」
絵守は老人を押しのけて
ヨロヨロと立ち上がりながら言った。
「へ?テルモピュライって
あのペルシア戦争の?」
テルモピュライの戦い。
スパルタの英雄レオニダス王が
二十万を超えるペルシア軍を相手に
たった三百の精鋭で立ち向かい
実に二万以上の敵兵を討ち
一週間に渡って足止めしたという
伝説の戦いである。
「とにかく服を着てください」
裸の筆山と絵守は、改めて見ると
筋肉の塊のような逞しい体をしていた。
ここが、あの脳筋国家スパルタなのか。
筆山たちは、とりあえず
互いに落ちていた服を身に纏い
その辺の石に腰を掛けた。
両王とも。と、老人は言った。
確かにスパルタは二王制だ。
ということは、筆山がレオニダスで
絵守がレオキュキデスということになる。
この集まりは
その二王+二十八老人の三十人会議。
スパルタの最高決定機関
長老会ゲルージア。
筆山も文献でこれを見知ってはいた。
しかし頭は不満で一杯だった。
そもそも何で野外なんだよ。
屋根くらい付けろよ。
広い公会堂とかないのかって。
なんか他は木で作った
小さな掘立小屋ばっかでさ。
マントも滅茶苦茶暑いし。
でもなんか脱ごうとしたら
凄い目付きで老人たちが睨んでくるし。
この赤い外套が王の権威ですか。
王が日射病で倒れても
君たちは心配しないんですか。
嗚呼、そうだよな。スパルタだもの。
赤子が生まれたらすぐ葡萄酒に漬けて
耐えられなかったら即捨てるような
マッチョ至上主義国家だもの。
よく見たら男に混じって
女まで素っ裸で訓練してるもの。
マッチョな女からじゃないと
マッチョな子供は生まれないって
そんなマッチョな考えなんだよ。
何というマッチョ天国。
否、こんな国
現代のどんなマッチョだって
裸足で逃げ出すに違いない。
天から堕ちてマッチョ地獄。
やはりここはジュデッカより酷い地獄だ。
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嘘つき同士の友情・最期の晩餐
希望と空虚・臆病者
据え膳食わぬは男の恥
正解と正しいは違う
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沈黙。凍て付いた氷が完全に音を止めた。
それは、不気味な閑寂ではなかった。
ひれ伏したような、大人しいシジマだった。
しんとしたコキュートスの中で
目の前の絵守が
いつの間にか泡を吹いて気絶していた。
どうやら挑発は成功しているようだ。
ならばここで畳みかけるしかない。
「おやおや?
図星を突かれて歯噛みしちゃったのかい?
でも、僕の友達をその八つ当たりに
巻き込むのは辞めて欲しいなぁ」
サタンは動かない。
相変わらず感情の読めない
シックスアイズが私に固定されたままだ。
言い過ぎたか?
否。そんなことは百も承知。
言葉で殺して論理を封じる。
そうでもしなければ主導権など握れない。
もはや後戻りはできない。
舌先三寸で切りつけて
その隙に付け入る傷口は今此処にある。
ここが交渉の分水嶺。ここが先途だ。
?
「まあでも、一旦大局的なことは置いといて
今は僕たちの目先の話から
片づけようじゃないか。
結局僕が言いたいのはさ
君が咥えてるそのユダは、神の敵。
すなわち君の味方に間違いないってこと。
僕はダンテって未来詩人のおかげで
その動かぬ真実を知ってる。
君は未来のことより
今のことを優先すると言ってたよね?
ならば、まず神に反逆するその第一歩として
ユダを口に咥えるよりも
同胞に加えるべきじゃないのかなぁ?
神の最たる裏切り者を解放するということは
神に対する大反逆だ。
君がその口を開くだけで
神に一矢報いることができる。
こんなお手軽な大チャンス
そうそうないよ?
更に特別サービスで
最低な情報を教えてあげようか。
そいつは、さっきのエルサレムでの戦いでも
未来の神たる僕を見捨てて
逃げようとしたんだ。
つまり、そいつは現在においても僕の敵。
君が今を重視しようと
未来を軽視しようと関係ない。
断言しよう。
何時如何なる時であっても
ユダは僕の敵だ!
親の仇にも勝る裏切り者だ!
世界中から嫌われちまえクソ野郎!」
私は泡を吹いて気絶している
絵守の白目に向かって
指を突きつけながら啖呵を切った。
?
「ならば問う」
サタンの重い声が急に頭に落ちてきた。
「貴様は何故
その裏切り者を助けようとする?」
肺が痛む。動悸が加速する。
否。どうでもいい恐怖だ。
そんなものは後ろに引っ込んでいろ。
己の弱さなんぞ、嫌というほど知っている。
後でいくらでも請け負ってやる。
今は己を騙り切る。
魔王だろうが神だろうが
悪魔に魂を売ってでも出し抜いてやる。
「君、聞いてなかったのかい?
僕はそいつに未来で
手酷く裏切られて滅びる予定だ。
その上、現在においても
さっき裏切られたばかりだ。
君がそいつに罰を与えてたんじゃ
僕がそいつを
罰することができないじゃないか。
だからさっさとそいつを放せ。
じゃないと僕がそいつを殴れないだろう。
僕はそいつをこの手でぶちのめさないと
地獄に堕ちたって気が済まないんだ」
瞬間、鈍い音が聞こえた。ぐしゃり。
絵守の上半身が、その断面から
迸る朱に染まった氷面に落ちて転がった。
「絵守!」
叫んだ私の両の肺を、熱線が貫いていた。
さっきまで灰色に沈んでいた
サタンの両目が、紅く輝いている。
「茶番は飽いた。
貴様はさっきこの者を友と呼んだ。
過ぎた嘘には本音が混じる」
血が、絵守から、私から
魔王の周りを満たす。
サタンを中心に
赤黒い色が円形に広がっていく。
「尊い血だ。ジューダス。
その名に免じて
貴様らの血が満たす此処を
ジュデッカと呼ぼう」
血が凍っていく。
私の身体を閉じ込めていく。
しかし、此処は終わりではない。
地獄の底を、赤い闇が?み込んでいった。
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「あの、サタンさんね。
あなたって神の敵なわけじゃないですか。
今で言うとヤハウェ的な?
でもね。実は僕
未来ではキリストって
呼ばれるようになるんです。
神であり神の子であり精霊、みたいな。
もう三位一体的な感じで
あなたの最大の敵になる予定なんですよね。
それでね、そこの、あなたが咥えてるユダ。
その男はね、そのキリストである
私のことを裏切った
最低最悪の謀反人なんです。
史実でそうなってるんですよ。
ということはですね。
考えてもみてください。
ユダは私の敵。
そして私の敵は、あなたの味方。
敵の敵は味方ですからね。
だからね、あなたがユダを咥えてるのは
どう考えても道理が通らないんですよ。
わかります?
あなたが神に仇為す者だというならば
同じく神を裏切ったユダを罰するのは
どう考えてもおかしいでしょう?」
?
沈黙。静謐な氷が微かに軋む。
暫くして、サタンの声が厳かに響く。
「未来は関係ない。
貴様らは今、神を奉じている。
ならば敵に変わりない。
我の是非は変わらない」
なんだこいつ。
私は目先の話ではなく
大局的な話をしているというのに
財務官僚みたいな答弁しやがって。
これだから目先のミクロ経済に囚われた
日本国の経済は衰退の一歩を
…いや、今はそんなことを
考えている場合じゃない。
こうなったらコテンパンに捲し立ててやる。
魔王と私の中の悪魔根性
どっちが上か勝負だ。
私は私の中の悪魔を全開して解き放った。
「サタン。君は敵対者という意味だよね。
君が此処にいるのを
何故僕が知ってると思う?
それは千年後の未来の話。
ダンテという詩人が
君のことを描写しているんだ。
その主人公は誰だと思う?
ダンテ本人だよ。
全く承認欲求の塊のような奴さ。
しかも彼、何しにゲヘナへ行くと思う?
観光だよ。
それも女の尻を追っかけての観光。
堕ちたわけじゃないの。
生きたまんまで悠々自適の地獄巡り。
ゲヘナも舐められたもんだよね。
ダンテにとっちゃ
地獄なんて別府温泉みたいなもんなのさ。
そんなんでいいんですか?
サタン、君なんて彼にとっちゃ
ただの観光名所だよ。
そんなんでいいんですか?
地獄の王として。魔王として。
納得いきますか?
僕はダメだと思うなぁ。
例え君が納得しても
他の悪魔が納得しないよ。
これは、もはや君ひとりの問題じゃない。
悪魔全体の沽券に関わる問題だ。
君は一刻も早く行動を起こして
魔王として悪魔の名誉を
挽回しなきゃならない。
ところが、君ときたら何ですか?
こんな所で上半身だけにされて
閉じ込められて。
挙句、神に仇為す者たちを咥えさせられて。
嗚呼、言っとくけど君は
近い将来にもう二人
君の味方であるはずの
神の敵を咥え込むことになるんだからね。
もはや言い訳の余地もないよ。
この際はっきり言ってやろうか?
言おう。結局君は
ダンテに都合よく使われてるだけの
人間の奴隷みたいなもんだ。
いや、君の内心がどうだろうと関係ないね。
傍から見たら百人が百人見て
そう思うだろうよ。
もしそうでないと言うのなら
なんで君は神を倒す素振りも見せずに
こんな所でユダなんかを咥えて
恬然としてるんだよ。
その口は、ユダを咥えるためにあるのかい?
違うね。その口は
神に噛みつくためにあるんだろう?
だったらこんな場所で
グズグズしてる場合じゃない。
さっさと神に
反逆しに行ったらどうなんだい」
?
沈黙。冷徹な氷にヒビが入って歪む。
また暫くして、サタンの仰々しい声。
「我が出るまでもない。
すでに事は進行している。
地獄の軍団は整いつつある」
私は辺りを見回した。
人っ子一人
悪魔一匹たりとも見当たらない。
あるのは氷だけだ。
私は呆れたように言った。
「悪魔の軍団?
此処コキュートスは凍て付いて
君以外に誰もいないじゃあないか。
我が出るまでもない?
あのさぁ、今まで君は神相手に
手も足も出たことないよね。
ないですよね。
そういう大言壮語は
せめて神に一太刀でも浴びせてから
言ってもらえませんかね。
いつまでも餓鬼みたいに
太平楽な御託を抜かしてるんじゃないよ。
全く。
大体、君は神にコテンパンに敗北した挙句に
こんな所に閉じ込められてるんじゃないか。
何?なんでそんなこと知ってるかって?
だから、全部未来で
明らかにされちゃってるんだってば。
あのさぁ、いくら嘘付いたって
最初から全部バレてんの。
君、全然悠長に構えてられるような
身分でも場合でもないよね。
おわかり?
百歩譲って、嘘を付くのは
悪魔的にしょうがない部分が
あるのかもしんないよ?
でもさ、ダサいのは悪魔としても
てか魔王としてもマジでなしじゃない?
正直、悪魔的にも人間的にも神々的にも。
客観的に見てかなりキツイって」
?
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風がない。空気が動かない。揺れもしない。
静かだ。ひたすら静かだ。
足元が凍っている。
周囲も凍て付いて止まっているかのようだ。
冷たい。ひたすら冷たい。
そこは、全てが冷徹で静寂な空間だった。
筆山はついに地獄に来てしまった。
そしてそれはマジだった。
目の前に三つの顔を持つ
巨大な化物がいる。
その真ん中の口に、絵守が咥えられていた。
絵守の下半身は化物に呑まれ
仰向けになった上半身が舌のように
ベロンと口からぶら下がっていた。
残りの二つの口はまだ空席である。
「なんだこれ?どういうことだ?」
筆山は思わず疑問を口にした。
口の中に冷気が舞い込む。
冷たい。肺臓を蝕むような
この世のものとは思えない空気。
僕は地割れに呑まれて
なんだかとんでもないところまで
落ちてきてしまったようだ。
「筆山君。どうやらここは地獄だ。
そして僕は非常に苦しい状況にある。
何とか助けてくれないか」
仰向けでベロンとなっている絵守が
苦しげな声をあげた。
「なんだ君、生きていたのか」
「死んでた方が良かったかい?」
「いや、そういうわけじゃないけど。
ところで君。その状態は大丈夫なのかい?」
「嗚呼。胴体は割と甘噛みだ。
ちょうど抜けない程度に
万力で固定されてる感じだよ。
問題はこの態勢だ。
このままじゃ頭に血が集中して
破裂してしまいそうだ」
「よかった。
そこまで重症じゃないようだな」
「何を言ってる。
僕の脳に障害が残る前に
早く何とかしたまえよ」
「無茶言うな。
僕だってこのわけのわからん状況に
混乱しているんだ。
君の頭の前に
まず僕の頭を何とかしなきゃ始まらない」
すると、中央の顔が
ゆっくりと私を見下ろした。
色の無い六つの瞳が一斉に私を見据える。
「貴様らは神の使徒だな」
心臓ごと射竦めるような荘厳たる声が
頭の内側に響く。
「堕ちてきたならば
我がこれを捕らえるのは必然である」
「あの、つかぬことをお聞きしますがね。
手前らはさっき此処に堕ちてきたばかりの
新参者でございまして。
へぇ。ろくに世間も知らぬ
某八輩の胡麻の灰でございます。
それにしても、あなた様は
大層大きなお方に違いない。
いや、手前らなんかと比較するのも
失礼な話でございます。
へぇ。きっとあなた様は
それはそれは位の高いお代官。
否、お殿様。否、皇帝陛下。
否、もしや神仏の類ではございませんか?
手前らの不勉強のせいで
あなた様のような尊いお方の
お名前もお応えできないとは
まことみっともない次第でございます。
へぇ。その、みっともないついでに
いっそ不躾にお尋ね申し上げるんですがね。
無知な下郎の戯言と
何卒ひとつご寛恕くださいまし。
へぇ。その、あなた様は、一体
何処のどなた様であらせられますか?」
私は卑しい幇間のような口調で
限界まで腰を低くして尋ねた。
「我はサタン。敵対者。神に仇為す者」
「なるほど。
じゃあここはやっぱり地獄ってことか」
絵守が真っ赤になった顔で
半ば諦め気味にいった。
今から千年後。
ダンテという詩人が神曲という
長編叙事詩を書く。
ゲヘナの最下層、地獄の第九圏
氷結地獄コキュートス。
その深奥にはサタンがいる。最悪だ。
私たちは文字通り今、地獄の底にいる。
私はパンを焼いただけなのに。
「エルサレムを焼き払い
地を裂いて全てを崩壊させた。
僕たちにお似合いの場所だな」
「冗談じゃないぞ。
僕は良かれと思ってやったんだ。
結果がどうであれ、僕は良心でやったんだ。
その報酬がこれかい?あんまりじゃないか」
「君の善悪なんて関係ないんだよ。
物事の正義は結果で決められる。
僕たちは最悪の結果を招いた。
これなら史実のユダの方がまだマシだった」
絵守はベロンと
宙吊りにされているせいもあってか
項垂れてすっかりナーバスになっている。
なんとかしなければ
このままではネガティヴに呑まれて
不貞腐れてしまいそうだ。
というか、百歩譲って
絵守が言ったことを受け入れるとしても
今度はそれで納得いかないことが出てくる。
目の前の光景が正にそうだ。
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?アカリ?
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