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アラビアンナイト 川崎 / ソープ

8:30~翌0:00

当日予約8:00~

神奈川県川崎市川崎区堀之内町13-8

JR川崎駅/京急川崎駅 ※送迎車ご用意致しております。

入浴料 11022,000円~

利用可能カード:VISA、MASTER

044-233-4152

※お電話の際に「ビンビンで見た」とお伝えください

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アカリ

アカリ(22)

アカリ(22)

T164 B90(E) W58 H89

非常ベルが鳴るまえに

――私は、ただ音だけを聞いていた。

帰りの電車のホームで、私は一人、

妙に長い影を引きずって歩いていた。

最寄り駅の、

その名前すら詩情を感じさせない、

あまりに凡庸な駅のホームを、

鞄を肩に食い込ませ、

やや猫背気味に歩いていたのだが、

どうも様子がおかしい。

先ほど私が降り立ったばかりの

電車が、発車しない。

ただ停まったまま、

何やら一つのドアに人々が群れて、

ざわめいている。

こういうとき、

私は大抵知らぬ顔をして通り過ぎるのだが、

その日は、どうも背中に熱い視線を感じて、

仕方なく、覗き込むように

その人だかりに近づいてしまった。

すると、ホームと電車の間に、

婦人が、いや、もっと正確に言えば

「おば様」が、片脚を落とし、

まるでアリ地獄の獲物のように、

ずっぽりと、はまり込んでいた。

これは、もう、ただ事ではない。

おば様の身体が半ばホームに、

半ば電車に挟まれたまま、

あられもない姿でよじれ、

しかしその表情には、

どこか悟りきったような、

仏のような穏やかささえ漂っていた。

その鞄の中身が散乱しており、

今にも絡まり合って

昇天しそうな有線イヤホンが、

知恵の輪のように絡まり、

いや、あれはまさしく

ピタゴラスイッチの様相を呈していた。

イヤホンの一本が、

車体の隙間に絡まって、外れぬ。

おば様の足とイヤホンとカバンと電車が、

ひとつの生命体のように

合体してしまったかのようである。

助けようとする人々は既に集まり、

男も女も、

あるいは会社員風の人々までもが、

手を差し伸べている。

「電車が発車しようとしているぞ!」

「止めろ、止めろ、電車止めろ!」

誰かが叫ぶ。

私は思った。

今こそ、私の出番ではないか。

助け起こす腕力など、私にはない。

だが、緊急停止ボタン、あれだ。

あれを押せばいい。英雄になれる。

社会に貢献したと、

誰かが心のなかで

拍手してくれるかもしれない。

私は走った。いや、走ったつもりだった。

ホームの柱をぐるりと回り、

目を皿にして、非常停止ボタンを探した。

だが、どこにも、ない。

普段見ようともしなかったツケが、

いま襲いかかってきた。

焦燥。汗。喉が乾く。

目の端に、

電車のドアが閉まりかけているのが見えた。

ああ、誰か、誰か、早く!

その瞬間、私の視界を

軽やかに駆け抜けた人影があった。

小柄な男だった。

痩せていて、どこか身軽で、

現代の忍者のようだった。

彼は迷うことなく非常ベルのもとへ走り、

そして、躊躇なく、それを押した。

ベルの音が高らかに響いた刹那、

おば様の足が、引き上がった。

人々がどっと安堵の息をついた。

すぐに別の女性が、落ちた婦人に駆け寄り、

何やら優しく話しかけている。

駅員が駆けつけ、事態を収拾しはじめる。

私は、何もしていない。

何もできなかった。

ただ、見ていただけだ。

けれど、見ていただけの私は、

駅員に事の次第をつたえ、

妙に感謝されてしまった。

何だか間違っている気がした。

忍者の姿はとっくになかった。

彼は非常ベルを押したその足のまま、

風のように走り去り、

煙のように姿を消したのだ。

電車が再び動き出す頃、

私はひとり家路についた。

「慈愛のある日本」を、

ほんの少しだけ、誇らしく思った。

それと同時に、自分の無力と臆病と、

頭の中で考えてばかりいて、

行動の伴わぬ性分に、赤面した。

電車の音が、やけに大きく胸に響いていた。

私はポケットの中のイヤホンを、

ただ握りしめていた。

?アカリ?



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