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アラビアンナイト 川崎 / ソープ

8:30~翌0:00

当日予約8:00~

神奈川県川崎市川崎区堀之内町13-8

JR川崎駅/京急川崎駅 ※送迎車ご用意致しております。

入浴料 11022,000円~

利用可能カード:VISA、MASTER

044-233-4152

※お電話の際に「ビンビンで見た」とお伝えください

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アカリの写メ動画一覧

アカリ(21)

アカリ(21)

T164 B88(E) W56 H87

  • 投稿日時

    文字に咲く花【起】

    ――彼女の二面性は

    文学とチゲ鍋の間にひらひらと揺れていた。

    私の世界ってば

    衣装もパネルも煌びやかなんだけど

    属性的には灰色のトーン強めだから

    履歴書に全くインクが滲んでない女性が

    たまに気にかかる。
    天下の往来を我が物顔で

    闊歩して憚りのない

    青天に身を委ねた女性たちは

    今日日

    一体どんな生活をしているのだろう?

    どんな話で盛り上がるのだろう?

    そこに愛はあるんか?

    信じられる愛はあるんか?

    女の友情なんてものが

    灰色の影を濃くするほどに

    激しく煌めいていたりするのかしら。

    果たしてドラマのような

    カフェで職場のアレコレを

    笑い合い愚痴り合い

    そんな時間がちょっとだけ

    明日をマシにしたりするのかしら。

    虎穴に入らずんば虎児を得ず。

    かくして私は

    女性専用友達マッチングアプリ

    なるものに登録したのであった。

    さすがに職業欄に馬鹿正直に

    『恋するお風呂屋さん』などと書いては

    花魁道中も泡と消える夢なる気がしたので

    『音響エンジニア』としておいた。

    「元」ではあるが、全くの虚偽ではない。

    嘘のコツは真実を少しく含めることだと

    偉い政治家が言っていた気がする。

    ところが、これがよくなかった。

    よっぽど音響というものが物珍しいのか

    どうして中々に食いついてくる。

    「何を録っているんですか?」

    「マイクってどやって選んでるんですか?」

    そんなことを聞いて

    一体何が面白いのだろうか?

    そのうち某女優の歴史的名言まで

    飛び出して来そうな勢いだった。

    「どうして生まれてから大人になった時に

    音響さんになろうと思ったの?」

    「きっと大人になって年齢重ねると共に

    本当に棒を…声を録るだけでいいの?」

    …そしたら私はこう答えてやるんだ。

    「そんなことは

    私にも、わからないんだよ」って。

    まあ私とて、昔の職業の話をしたところで

    何も面白いことはないのであって

    もはや意図的に質問者の興味を削ぐように

    未経験者には到底理解不能な

    すこぶる専門的事柄を

    敢えて交えて応えたりしていたのだが

    何故かどうしてかそうすると

    質問が過熱する傾向にあった。

    マニアックになるほど火がともる。

    人の好奇心とはわからないものである。

    私は彼女たちに言いたいよ。

    「どうして生まれてから大人になった時に

    音響さんにたくさん質問しようと思ったの?」

    頭の中のリトル広瀬すずに

    心中を掻き乱され

    苦虫を?み潰す思いをしながら

    それでも、やりとりが続いた何人かがいた。

    何故かそれは、とても奇妙で

    それなりに興味深い女性たちばかりだった。

    ケース①

    【あなたの前世、蛇だったと思うの】

    一体どう関係性を持続させればいいのか

    というような一言。

    ミウという名の彼女の職業欄には

    『スピリチュアルセラピト』とあった。

    なんだろう、とにかく一文一文に

    オーラの泉が氾濫している。

    こういう界隈では

    当たり前の挨拶なのだろうか。

    「こんにちは。お写真を拝見して

    前世から蛇のエネルギーを感じます」

    「私はイヴをたぶらかして

    リンゴを食べさせたりしてませんよ」

    「しかしアカリさん

    あなた、脱皮しやすい人生でしょう?」

    「まだ一皮も向けていない気がします」

    「でも生き方を変えることに対して

    抵抗がないでしょう?」

    「それは平均よりは

    そのきらいがあるかもしれません」

    しまった。

    ついうっかり乗っかってしまった。

    「その前に、蛇といえば

    西洋ではサタンの化身と忌み嫌われ

    東洋ではスネークカルトとして

    蛇神が信仰され、扱いが真逆ですよね?」

    私は調子付かれる前に機先を制しておこうと

    無理やり話頭を捻じ曲げた。

    「え?ああ

    言われてみれば、それはそうですね」

    「ミウさんは私を西洋蛇、東洋蛇

    どちらと見做しているのですか?」

    「西洋、東洋の概念は関係ないのです。

    前世というのは蛇というそのものの

    生物的属性にのみ帰属します」

    「ではそこに宗教学は一切

    絡む余地がないと?

    前世という概念自体が宗教学に

    帰属しているにも関わらずですか?」

    「私の言う前世とは、特定の宗教に

    帰属する意味合いのものではないのです。

    あくまでその人を取り巻くオーラの話です」

    「でもそのオーラは、今の私からではなく

    私の前世から発せられているのでしょう?」

    「そうです。現世に転生する一代前の

    アカリさんは蛇でした」

    「であれば、やはり

    私が西洋蛇だったのか東洋蛇だったのかは

    重要なファクターだと思います。

    だいぶ人生

    いや蛇生の難易度が変ってきますので」

    「どこの蛇だろうと、蛇は蛇でありますから

    大枠は変わりませんよ」

    「いえ、想像してみてください。

    ヨーロッパで民衆に

    石を投げられる西洋蛇と

    ジパングで神社に祀られ

    胡坐を?いている東洋蛇、その身分の差を」

    「そのどこまでも絡みつくような

    前世に対する承認欲求こそが

    アカリさんが蛇であった証拠です」

    はぐらかされた上に

    遠回しな人格攻撃を受けた気がした。

    「しかし

    そこまで前世と同期率の高い方は稀です。

    アカリさんになら

    声が聞こえるかもしれません」

    メッセージと続けざまに

    御大層な座布団に乗っかった

    石の写真が送られてきた。石?

    「これは富士の麓で拾った

    レムリアン・クォーツです。

    今は『語り』の波動が強くなってますから

    聞こえる人には声が届きます」

    「じゃあこの石に聞けば

    私が前世で虐められてたか

    祀られてたかがわかるんですか?」

    「言葉というより

    『感覚』で理解するものです。

    今、『あなたに必要な出会いが来る』

    と言っています」

    「あの、それより

    蛇の話を聞きたいんですけど」

    「アカリさん。

    あなたから『風の音』を感じる

    と言っています」

    「風の前に蛇はどうなったんですか?」

    「風はメッセージを運びます。

    アカリさんの曇った第六チャクラも

    風に当たれば整います。

    そしたら北東の公園で

    裸足になってみてください」

    私はスマホをそっと置いて、窓を開けた。

    外は、風ひとつない猛暑に揺れていた。

    ?アカリ?





    ※公式LINE凍結されました?
    ※9月後半はお休みします


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  • 投稿日時

    あんしんの国【下】

    「…でさ?ほら、この鎮宅霊符なんてさ

    横線の入りが、もう職人芸だよ」

    屈託のない男の笑顔に

    人の尊い純粋さが垣間見えるようで

    空気はいつしか暖色を取り戻していた。

    しかし

    それにしたって解せないことがある。

    「じゃあ、このお札たちは

    巨大霊を封じてるんじゃ…」

    「だからホラー系とか心霊とかは

    全然興味ないんだって。マジで」

    「信じてないにしては

    ちょっとその方面の知識に

    詳し過ぎやしませんか?」

    「ああ、それはドラえもん信じてないけど

    ドラえもんグッズ

    集めてる人と同じみたいな?

    ドラえもん博士ならぬ、お札博士的な」

    なんだか全身の力が抜けた。

    目の前の男は、ただ趣味に

    真っ向から興じている正直者だった。

    それはとても素敵なことで

    それは私にも共通するものがあると思った。

    「なるほどそれは

    私が存在しないどせいさんのグッズ

    集めてることと同じなんですね」

    「ん?どせいさんて何?」

    「これです」

    私は鞄に提げた

    どせいさんの小さなぬいぐるみを

    男の方に向けた。

    「うわ、キモ」

    「え?」

    暖色に包まれていた空間が

    ステンドグラスを叩き割るように砕け散り

    一瞬にしてモノクロになった。

    「あ、いや、キモカワってやつ?

    斬新さが無意識を

    攻め立ててくるっていうか…」

    無声映画の中で、男の声は私に届かず

    あれほど気になっていたお札さえ

    白黒に塗りつぶされて存在をなくした。

    店を出るとき

    「これおまけ」そう言いながら

    男が一枚のお札をくれた。

    妙に黄ばんでいる。

    帰宅すると、いつものように

    どせいさんが私の帰りを待っていた。

    リビングの机の真ん中のどせいさんは

    電気をつける前から

    ほんのり発光して見える。

    「おかえり ですぞ」

    「ただいま ですぞ」

    電気をつけながら帰宅の挨拶を交わす。

    電灯に照らされたどせいさんの頭部は

    光を射返して今日も艶やかだ。

    「きょうは なぞのかみ もらってきた ですぞ」

    鞄から、くすんだ紙切れを取り出して

    天井に向けて透かしてみる。

    細長く伸ばした墨の線は

    不安定な震えを四方に広げている。

    臨終際に足掻く虫の足みたいだな

    なんだか剣呑だ、と思った。

    「ほほー これは おふだ と いうもの ですな」

    「そう ですぞ。

    びよういんの ちゃらおが

    いっぱい はってた ですぞ」

    「いっぱい ですな」

    どせいさんの

    どこまでも続く深淵のような瞳の奥に

    一瞬、くっきりと白金に輝く

    円形の輪が浮かび上がった。

    ような気がした。

    「では わたしが しょうか いたす ですぞ」

    「しょうか?」

    「ぺたり と わたしの まゆげ に はれば

    まもりの ふだ に しんか ですぞ」

    「まゆげに はったら

    ひたいに はるのと おなじ ですぞ」

    「おなじ ですぞ。

    つまり まゆげ=ひたい ですぞ。」

    私はお札をどせいさんの

    まゆげのあたりにペタリと貼る。

    「ぺたり ですぞ」どせいさんの顔というか

    全体は、札にほぼほぼ隠れて

    バランスの悪い

    キョンシーのようになってしまった。

    「これで わたしは せいれいよけの

    どせいさん に なった ですぞ」

    どせいさんは

    お札の向こうから誇らしげに宣言した。

    なんだかお札から剣呑さが消えて

    胸がふっと軽くなった気がした。

    「おふだは むじに しょうか ですぞ。

    これで あんしん の くに ですぞ」

    私にとって お札は

    どせいさん そのもの でありますぞ。

    ?アカリ?




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  • 投稿日時

    あんしんの国【中】


    しかし

    果たしてそんな霊を鎮めている

    その中核を担っているお札は

    どれであろうか?

    よっぽど霊験あらたかな

    恐山のイタコ百代分の魂を注ぎ込んだような

    半端ないお札に違いない。

    そしてきっと古くて傷んでて

    汚れてるんだろう。

    だってお札というものは

    とりあえず古い方が

    良さげに見えるんだもの。

    朽ちかけてるものほど

    なんだか強そうに見える不思議。

    年功序列制?

    それともヴィンテージってやつ?

    普通だったら、絶対新品の方がいいのに。

    昔の坊主の念力には勝てないのだろうか。

    最近の若い坊主なんて

    ベンツ乗り回しのグッチにドルガバで

    説得力がないということか。

    でもさ、JAPANの坊主なんて

    昔から生臭じゃないの。

    そんなね、インドのブッダガヤで

    死に物狂いの修行してる人とかいないから。

    毎日遊郭出入りして

    泣かした女は数知れず。

    そういうもんでしょ坊主なんて。

    とある雑居ビルに

    坊主BARってのがあってさ。

    昔、一度入ってみたら

    そこのマスター=坊主が言ってたよ。

    坊主たるもの俗物を極めるべし。

    こういう商いしてなんぼ。

    飲む・打つ・買うは当たり前。

    生臭じゃなけりゃ青臭い。

    臭みがなけりゃ坊主にあらず。

    坊主はくさやと似ています。とかなんとか。

    南無南無。

    「気になるでしょ?

    これ全部俺のコレクションなんすよ」

    現実逃避に夢中になっていると

    頭の上から、妙に明るく弾んだ声がした。

    栗色マッシュにピアスが三つ。

    日サロで焼いているであろう肌は

    頬骨のあたりが少し赤茶けている。

    少しこけた頬の間に見える

    口角の吊り上がり方が

    何となく軽薄そうに見える。

    袖を捲った白シャツの

    先に見える指先の上には

    金色のネイルが嘘っぽく輝いている。

    どうやら

    このチャライを具現化したような男が

    今日の私の担当美容師らしい。

    そして口ぶりから察するに

    男はここのオーナーでもあるようだ。

    「コレクション?」

    私の視線が四方山なお札に向けて

    様々な角度に飛んだ。

    そんな私の顔色を見て取った男は

    何やら自慢げに口元を緩め

    そして語り始めた。

    「入口左の柱のやつは、鎮宅霊符。

    家に棲む霊を鎮める符で…」

    「レジ横のやつは、五芒星護符。

    陰陽師とかが使う結界符ってやつ…」

    「天井の梁のあそこ

    こっからはあんま見えないけど

    九字切り護符が九枚。

    南西から北東へきっちり順にダダダッと…」

    「んで、鏡の縁に沿って一枚ずつ

    計十八枚の病魔退散符。これはね…」

    鏡で自分の髪を確認するたびに

    黒々とした筆跡が

    否応なく視界に躍り込んできて

    背筋がヒヤっとする。

    勘弁していただきたい。

    男はそんな私の様子など意に介さず

    事も無げに軽快に鋏を操っている。

    そして軽口とは裏腹に

    口から出る単語は異様にマニアックだ。

    この感じ…

    もしやこの人は

    霊能者兼美容師兼オーナー兼

    安倍晴明の血筋的なアレコレで

    巨大な邪霊を一人で封じ込んで

    この土地を密かに守っている

    なんてベタな設定だったりしないだろうか。

    「これ、全部本物なんですか?」

    「ほぼ本物だね。

    京都の骨董で拾ったのとか

    台湾の廟から持ってきたのもあるよ」

    「はぁ」

    なんだか余計に怖いような気がしてきた。

    「あと、シャンプー台の裏に

    ベトナムの黄紙符っていう

    水回りの霊除け貼ってんだけど

    これとかガチで効くって凄い言われたよ」

    水回りの霊避けが美容室に必要な理由…

    閉店後、誰もいないシャンプー台。

    蛇口から突然溢れる水。

    鏡に映るはずのない黒い影…

    だとしたら、一体この店には

    どれだけの霊がいるというのか。

    脳裏に浮かんだ映像を振り払うように

    私は男に問いかけた。

    「その、こういうのって

    やっぱり何か、あったりするんですか?」

    恐る恐る尋ねると、男は鋏を止め

    しばらく無言で私の髪を指で梳いた。

    重苦しい沈黙。

    悪寒が首筋を伝い

    鼓動のリズムが出鱈目に跳ねる。

    「お姉さん、そういうの信じる系?」

    「え?」

    「俺、リアリストだからさ。

    そういうスピリチュアルなの

    苦手なんだよね」

    鏡の中の男が何を言っているのか

    一瞬意味がわからず

    額の裏側に虚ろな霞がかかる。

    「じゃあ、何もないんですか?」

    「何もって?霊とかそういう系?

    いや、そんなんいるわけないでしょ」

    「は?」

    「あ、ごめん。いてもいいんだけどさ。

    俺はいない派っていうね」

    「でもほら

    水回りの霊除けがガチで効くとか…」

    「効くわけないじゃん。

    あんなんで水回り問題解決したら

    水道屋が自殺しちゃうよ」

    「ええ?

    じゃあなんでお札貼ってるんですか?」

    「俺ね、お札フェチなのよ。

    インテリア感覚で集めてたら増えちゃって」

    「フェチ…?」

    「いや、ちょっとよく見てご覧よ。

    カッコよくない?

    墨の掠れ方とか筆跡の跳ね方とか

    色合いのくすみ方とか…」

    男は少年のように目を輝かせながら

    まるで名画を紹介するように

    お札の魅力についてプレゼンを始めた。

    その顔からは

    すっかり軽薄さが消えていた。

    ?アカリ?



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  • 投稿日時

    あんしんの国【上】

    ――その一枚を境に

    世界は静かに反転した。

    未だ私は巡礼者。主を頂けど足が定まらず。

    この場合の主とは

    一番馴染みのある美容院のことを指す。

    そう、私には

    美容院ジプシーの側面があるのだ。

    気になる美容院を見つけては

    つい飛び込みで入ってしまう。

    好みの作家が決まっているのに

    見慣れぬ新刊をとりあえず買ってしまう

    あの積み本症候群に似ている。

    まあ私の行脚した美容院は

    積まれないだけマシだ。

    そんな自分への免罪符を心中に貼り付けて

    その日も私は、駅前通りから

    一歩入った通りにポツンとある

    静かな外観の美容院へ入った。

    当たりだ。

    椅子に案内されてから、そう思った。

    木を基調にしたナチュラルモダンな内装は

    隅々まで手入れが行き届き

    案内された木製の椅子の肘掛けは

    窓から降り注ぐ日差しを存分に浴び

    新緑を芽吹かせそうな勢いで

    白光に色めいて

    より一層力強く木目を主張させていた。

    布かれたクッションは

    夏を存分に吸い込んで暖かく体を迎え

    スタンバイ中の私は

    北欧の麗らかな森の湖畔に

    佇んでいるかのような夢心地にあった。

    段々とふわふわした気分が

    内側を満たしていく。

    このままエルフたちに連れられて

    空へと吸い込まれていくんじゃないかしら。

    そうして自然と天井近くへ

    目線が上がっていった。

    そのまま真上に辿りつこうかという

    その途中。

    私の目は、ある一点に固定された。

    天井近くの、梁の付け根辺りに

    それはあった。

    木から浮き出たように

    或いは埋め込まれたように張り付けてある

    ボロボロの紙片。

    細かく大胆に刻まれた墨の線は

    掠れても尚

    否応なく見るものの目を引き付ける。

    お札だ。それも相当に古い。

    色が焼けて茶褐色に変色したそれは

    そのまま境界を曖昧にして

    初めから木の一部だったようにも見える。

    しかしてそこに記された筆致だけは

    生きているかの如く力強い。

    天から仁王の形相でこちらを睨みつけ

    下界を監視しているようだ。

    一転して不穏な空気が肌を撫でまわす。

    監視の気配は天井付近だけではない。

    嫌な予感を押さえつつ

    その元を辿るように店内を見回した。

    そして戦慄した。

    どうして今まで気が付かなかったのか。

    観れば壁一面、鏡の端、ドライヤー置き場に

    シャンプー台の裏、ガラス扉の内側にも

    額縁のように並んでいる、それら。

    札は、ありとあらゆる場所に現れた。

    いや、あったのか。

    もはや、その判別が、私には付かない。

    ほんの数舜前まで楽園の畔だった店内の

    優美なる化粧は音なくして崩れ落ち

    その下から黄泉の地肌が覗く。

    たったひとつの異質に

    気付いてしまった途端に

    その異質は連鎖し、空間を埋め尽くし

    生暖かい冥府の風が私を椅子に縛り付けた。

    一体ここは何処なのか?

    何をする場所なのか?

    私は美容室の扉を開けたはずだ。

    断じてパンドラの箱など開封していない。

    落ち着け。

    そもそも札というものは

    霊を鎮めるためのもの。

    往々にして悪しきものではない。

    その対極である。

    問題は、その札が何故

    こんなにも必要なのかということ。

    それは、逆説的に考えれば

    ここにそれだけ霊が、鎮めるために

    これだけの処置をせねばならぬ邪気が

    あるということ。

    頭の中で貞子と加耶子が

    山本美月を媒介に合体し

    貞加耶子になって雄たけびをあげた。

    そして、化物には化物を

    ぶつける理論でもって

    フレディとジェイソンに白羽の矢が立ち

    彼らはマコーレ・カルキンを媒介に合体し

    ジェイディ(JD)となって貞加耶子と戦い

    なんやかんやで結局融合して

    JD貞加耶子となる。

    JDとして大学へ通うことになった

    貞加耶子は、学生たちを

    恐怖のどん底に突き落としつつも

    意外に真面目に授業に出席。

    しかしジェイソンの

    頭の悪さが影響して単位が取れず

    四回留年した挙句に退学となる。

    ショックを受けたJD貞加耶子は

    勢いで元の四人+二人に分裂し

    各々はなんとなく

    自分の世界へ引き返して行った。

    八年分の学費は、なんとなくの流れで

    瀬戸康史が負担していた。

    金を工面するために

    瀬戸康史はとてつもなく働いた。

    それが功を奏して

    単独主演の映画が立て続けに大ヒットした。

    「瀬戸康史・0」

    「瀬戸康史・バースデイ」etc…

    来年には、「瀬戸康史・3D」

    が公開される予定だ。

    そして瀬戸康史は、自分でも知らぬ間に

    JD貞加耶子を越える

    巨大霊になりつつあった。

    とかなんとか。

    まずい。

    妄想に拍車がかかって思考が乱されている。

    これも、ここに封じられている

    邪悪な霊の瘴気の影響だろうか。

    おそらくそうに違いない。

    ?アカリ?



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  • 投稿日時

    放言の飽食【下】

    日に四食は虐待です。

    例えば角界、相撲部屋。

    打たれるぶ厚い本の角。

    かわいがりが度を越えてます。

    そんな四冊、五冊もたて

    プロレスラーかて入らへん。

    そやから間にピクルス挟む。

    魔法で腹減るピクルスよ。

    ア ホな映画を過剰に摂取。

    なんでかお腹が減りますのん。

    スカスカのもん見たったら

    なんでか脳みそ空きますねん。

    でもねこれには時間がかかる。

    ア ホの映画は時間にルーズ。

    時計の針は何測るん?

    脳の隙間に見えてくる。

    頭の掃除にサメ映画。

    明けて夜更けじゃ本末転倒。

    なんやかんやの不文律。

    世の中バランスぐらぐらり。

    飛行機片翼もげそうです。

    明けの明星空堕ちて

    地獄は割かし楽しんかもな。

    富士でもキツいに天上なんて

    神さん酸欠しんどいやろな。

    うっすい酸素でやせ我慢

    威風堂々はばかりさん。

    比べりゃ魔王は楽やない?

    ちゃんと地に足ついてはる。

    WiFiだけは飛んでへん。

    神さんとこかて同じやのん。

    お腹が苦しい。脳パンパン。

    高気圧やのに血管マッチョ。

    前頭葉がいらんこと

    ボディメイクはやめなさい。

    あんたの収まるその部屋は

    広がる見込みがありません。

    脳の物件そらそうよ、土地開発は禁止です。

    JAPANの顔は平らなヒラメ。

    かかけ鉢が張っててあかんのか。

    外人なれというのんか。

    頭を後ろにニョンやれと。

    西洋顔の押し売りや。

    白黒憧れ極まりゃあれよ

    フリーザ第三なってまう。

    冷静にみたらエクレアや。

    平たい黄色で我慢なさい。

    西洋価値から目が覚めて

    ヒラメの方がヘルシーやん?

    エクレアよりも素敵やろ。

    後から言うても遅いねん。

    ヤマト魂、売買禁止。

    しかし偉きは本棚よ。

    あないにでっかい口あけて

    山ほど本など突っ込まれ

    文句のひとつも言いまへん。

    咀嚼も唾液もありまへん。

    あいつはきっと、本嫌い。

    口も乾燥してまうわ。

    濡れ場無縁の冷凍マグロ。

    それで臭ってきたならば

    本棚、本に発情したん?

    垂らした唾液が乾いたのん?

    あんたの口臭、黴臭い。

    ほんだら本が臭いのや。

    本も読まれな溜まります。

    湿度高めなムーディーナイト

    中の頁もムンムン乱れ

    放ったらかしから欲求不満

    本のフェロモン迸る。

    西洋人の脇んとこみたく

    なかなか強烈たまりません。

    臭い本棚、蓋をしろ。

    蓋がそもそもありまへん。

    そやからはよ食べいうたんや。

    本棚歯並び綺麗して

    私ら歯茎にゃ寿命ある。

    ガタがきそうでゲップが出ます。

    読まへん本に、出す月賦。

    食べもせんのに月賦月賦。

    わざわざア ホらし眠たなる。

    網膜余白がありません。

    あったらあったでそれはそれ

    黒目全然足らんやないの。

    白内障とちゃいますのん?

    いっそ盲目やったらな。

    満腹ならんで済むんちゃう?

    耳から文字を食べましょか。

    最近便利なおーでぃぶる。

    それって文字とはいわれへん。

    耳から食べるは言葉やないの。

    文字と言葉の意味違い

    身体知でしかわかれへん。

    盲人ならんとわからへん。

    そんならあれあの、硫酸やん。

    いやいやあかん。

    例えばこの目

    文字も食べれん少食の、ヘタレ根性役立たず

    やとして硫酸あきまへん。

    教育勅語に硫酸禁止。

    なんや似てるな乳酸菌に。

    なんでか韻が、踏めてるやん?

    因果も踏んで、あるやろか?

    腸内活発なるやろか?

    目のことやから、胃腸は要らん。

    これらは脳のことですねん。

    前頭葉に絆創膏、樋口一葉、たけくらべ。

    なんやらわけが、わかりません。

    こうして脳は削れます。

    満腹にして、削れます。

    削れた脳髄裏側に

    サメがキラキラ綺麗です。

    サメはドクターフィッシュやのん。

    脳の疲れをパクパク食べる。

    食われた分だけ、食べれんねん。

    サメが空き間を作ります。

    頭に空き部屋作ります。

    スクリーン映して泳がして。

    今日はこれやでこのパケ写。

    温泉シャークが踊ります。

    ?アカリ?




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    放言の飽食【上】


    ──放言は文字にして止まらず

    私の脳は消化不良である。

    世の中には方言というものがありますね。

    広島弁だの博多弁だの名古屋弁だの

    駅弁だのビッグ・ベンだの。

    しかし私なんて

    「ジヌよさらば」みれば東北弁が混じり

    大阪吉本漫才みれば関西弁に引きずられ

    もうどこが????? ???? ????

    それはもう、発語に至っては大変です。

    なんせ関西の方に見つかれば

    あんたそれはエセやないの。

    大阪弁とかいうて

    私のがどちらかというと

    京都弁に聞こえたら

    どないしてくれはんの。

    エセやエセやのエセ祭り。京都大炎上。

    よって浮世に音をちらつかせては

    これはもう大事なります。

    ただ、これが言語でなかったらどうやの。

    ここの日記はこれ、ただの文字やないの。

    文字やったら

    文句はいわれへんのやないの。

    ネイティヴと違う書き方しても

    はあ、こりゃ読み書きの不自由な人やなぁと

    見逃してもらえるんやないの。

    これなら方言ならぬ放言なのやから。

    というわけで私はこれ限り

    文字で鈍ってみたらええのんやないか。

    文字で鈍るといいまして

    なんでそんなん考えた?

    隙間時間に読む本を

    表紙に惹かれて開きます。

    白にびっしり黒集る。色んな形のアリが舞う。

    私は捲って食します。黙々と黒を食します。

    モグつきふっと、考えた。

    いちばん美味そはあれちゃうの?

    メニューのあれとちゃいますのん?

    メニューでヨダレが止まりません。

    デパコスなんちゃらとかでもね

    想像こそが美食やの。

    流し見超えるはありまへん。

    そこにつけては小説の

    美食の極みは表紙やないの?

    本屋でウキウキ便意が催促

    食べる準備をしてるんちゃうの?

    腹を空にしアリ貪る

    そういう魂胆ちゃいますのん?

    いうても、食べんの文字やから

    咀嚼は瞼で致します。

    あんまりガツガツしてまうと

    傍から見たらば不審です。

    瞬き多くて危なく見える。

    本屋の殺伐これやもしれん。

    顔伏せみんながパチパチパチリ

    恥ずかしがり屋の星たちよ。

    そうやいうても食すなら

    胃にも限界ありますねん。

    目から食すといいまして

    脳にも限界ありますねん。

    その前の前の大手前

    目にもリミットありますねん。

    レーシック、メガネにコンタクト

    全部ぶち抜き目薬、カフェモカ。

    それでもあかん、まだ足りん。

    いっそ硫酸かけたろか。

    そんなんしたかて疲労にゃ勝てん。

    勝てりゃ硫酸置いてます。

    薬局コンビニどこにでも。

    だから言うたん、腹八分。


    ?あかり?



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