ごめんねぇ

――誰にともなく謝りながら私は今日も、誰にも気づかれずにいた。 電車の中で、音楽が鳴っていた。それは、駅のホームに流れる軽薄なジングルとも車内の無機質な案内音ともまったく異なる質感の――少しばかり渋めの洋楽だった。男のしゃがれた声がどこか煤けた路地裏で口ずさまれているようなそんな音楽が、満員というにはやや物足りぬ混雑の中にずうっと、しみついていた。だが、誰一人としてそれを聞いていないふりをしていた。イヤホンをしてスマートフォンに視線を落とし日々のやるせなさに蓋をする術にもうみんな手慣れているのだった。そう、そうなのだ。私もまた、そうであった。聞こえてはいた。だが、それを｢聞いてしまってはならぬ｣と思った。なぜだろう。私は気になって気になって仕方がなかった。神経質な性分ゆえかあるいは社会不適応の片鱗かこういう｢見て見ぬふり｣という行為がひどく恐ろしく思えるのである。人間は、もっと素直に、互いに注意し合い助け合って生きていけぬものか。いや、そんな理想論をぶつけたところで誰も私の言葉には耳を傾けまい。私のような女の言葉など所詮、駅のホームに置き去りにされた傘のように忘れられるだけだ。だから私は黙っていた。黙って、音の出どころを目で探していた。車内は、そこそこ混んでいた。中高年のサラリーマンが吊革につかまりながら口を真一文字に結んでいる。学生らしき若者が、スマホに目を落としてしきりに画面をスワイプしている。誰一人、異変に顔をしかめる者はいない。ただ私だけが、音の正体を見極めようと視線を泳がせていた。だが、見つからない。まるで音だけが、車内の空気に溶け込んでしまったかのようだった。これが｢不自由｣なのだろうか。見て見ぬふりという小さな嘘の積み重ねがやがて一つの檻となり人々の心を縛りつけていく。私はそんなことを思った。思ってしまったのだった。声をかけるか。だが、もし相手が妙な人間であれば？絡まれでもしたら？挙句、私は仕事に遅れてしまう。私のような取るに足らぬ人間の一分一秒は決して軽んじてはならぬほどにすでに薄っぺらで、貴重なのだ。そのときだった。音が、ぴたりと止んだ。「は？」と思った。え、いま、止まった？誰が？　どこで？私は半ば呪われたかのように車内を見渡した。すると、ひとりの外国人がまるで朝の夢から醒めるようにのろのろと立ち上がった。背は高く、顔立ちは憂いを帯び肩からぶら下げたリュックサックの口が開いていた。｢〇〇ステーション？｣とその外国人が、眠そうな顔で言った。｢ノーノー、過ぎたよ～｣と、近くの日本人がたどたどしい口調で応じた。――なんてことだ。目覚まし、だったのか。私はあっけにとられた。全身の力が抜けた。全ては、あの外国人のスマートフォンのアラームだった。音楽に設定された目覚ましが車内で鳴り響いていたのだ。インフルエンサーによる奇怪な電車ジャックでもなかったし深淵から聞こえる亡霊の声でもなかった。なんのことはない、寝過ごしかけた外国人のささやかな｢朝｣だったのだ。外国人は、誰にも謝らず誰にも気づかれぬようにゆっくり、電車を降りていった。とぼとぼとどこか遠い国へ帰るような背中だった。私は、声をかければよかったと少しだけ悔やんだ。｢ごめんねぇ｣と、誰かが小さく言った。たぶん、私の心の中の誰かだった。もしくは、もう一人の私かもしれない。電車はまた何事もなかったかのように、動き出した。私たちは、今日もまた見て見ぬふりの中にいる。 ?アカリ?

0.01mm単位の差

こんばんは?満たされた瞬間って、こんなにも甘くて余韻が残るのですね? 先週火曜日にそんな体験をした、アラビアンナイトのシャロンです??♂??10日(火)は突然予定が空いたので、ずっと行きたくてたまらなかった場所へ行ってまいりました??♀?? それはなんと、まつエクサロンです? なんだ普通じゃん、行きたくてたまらないほどかな？そんな声が聞こえてきそうです。 実はですね、二週間前にまつエクの付け替えに行ってきたばかりだったのですが、 お酒が回った状態で行ったので、仕上がり後はとても良く見えていたものが翌朝に自分のお顔を見ると、 まつ毛が…扇子のようにとても濃ゆくなっていたのです！！? ひと瞬きで風を起こせそうなほど、結構な濃さでした??こうなったのも自業自得です? 施術していただいた翌朝。 私「なにこれー！！?　　まつ毛が濃すぎる！！！　　来週撮影があるけど大丈夫かな?」 付け替えてもらいたくサロンへ連絡をしますが、空いている日が三週間後だったので、泣く泣く諦めました? 数日後、兄弟に会うと ?「なんか目元が濃いね?　　舞台メイクみたい！」 私「やっぱり？濃いよね?　　酔っ払った状態で　　施術してもらったんだけど、　　感覚が麻痺してたよ?」 他店でお直しして更に変になったら嫌だったので、バサバサまつ毛で撮影をする事にしました。 日常でバサバサまつ毛が気になったので、次回予約前までに何とか付け替えてもらおうとタイミングを伺ってたところ… それが先週の火曜日に叶ったのです！?何という良いタイミング！！ お直ししていただいていつも通りのナチュラルに変わってすっきりです? 0.05mm、0.01mm単位でこんなに雰囲気が変わってしまうなんて、美とは繊細だ！と実感したのでした。 アラビアンナイト??♂??シャロン

もう夏だね?

皆様本日も一日、お疲れ様です???今日は暑かったねー??梅雨、どこ行った…？お天気予報見てももう雨マークがないね?今日は撮影に行ってきました?浴衣&ビキニの2パターン撮ってきました?いいお写真になったと思うのでお写真変わるのお楽しみに…?暑いけど、湿度も高くて熱中症になりやすいので?皆様水分補給と十分な休息を取りながら、お気を付けてお過ごしくださいね????*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*初めましての方もメール予約が嬉しいです???ご予約はこちらから??arabi.jewel762@gmail.com6月末～7月上旬はお休みが長く続きます??♀?7月のご予約まで姫予約にて承っております?6月スケジュール??7月スケジュール?(リクエスト?の日でも出勤可能ですので直接私にお問い合わせください?) ??土日祝、人気のお時間帯は平日でもお部屋が埋まりやすい為、お早めにご連絡頂けると嬉しいです?? それでは? アラビアンナイト?ジュエル?

0.01mm単位の差

こんばんは?満たされた瞬間って、こんなにも甘くて余韻が残るのですね? 先週火曜日にそんな体験をした、アラビアンナイトのシャロンです??♂??10日(火)は突然予定が空いたので、ずっと行きたくてたまらなかった場所へ行ってまいりました??♀?? それはなんと、まつエクサロンです? なんだ普通じゃん、行きたくてたまらないほどかな？そんな声が聞こえてきそうです。 実はですね、二週間前にまつエクの付け替えに行ってきたばかりだったのですが、 お酒が回った状態で行ったので、仕上がり後はとても良く見えていたものが翌朝に自分のお顔を見ると、 まつ毛が…扇子のようにとても濃ゆくなっていたのです！！！? ひと瞬きで風を起こせそうなほど、結構な濃さでした??こうなったのも自業自得です? 【酔いが回った日の　アイリストさんとのやり取り】 私「すみません！！！　　今日はお酒が入っています！??♀?　　出来る限り口腔内を　　綺麗にしてきたんですが、　　お酒のにおいがしたら本当にすみません??♀?　　謝って済むことではないんですけど…」 アイリストさん??♀?　「お酒を飲まれるなんて珍しいですね！　　気にしなくて大丈夫ですよ～??」 私(笑顔でそう言ってくださるけど、 やはり迷惑だろうなぁ…申し訳ない??♀? 楽しくて飲み過ぎてしまった? 良い大人はセーブすべきことなのに、 今更になって恥ずかしい?) ??♀?「今日のデザインは ご予定通りで大丈夫ですか？」 私「はい、いつも通りでお願いします！」 ??♀?「そういえば、 新しいエクステを導入したんですよ。 Lカールのエクステで、こちらですと アンドヘルシー(まつエク用パーマ) を掛けずに済むので、30分くらい 時間短縮できます? トータルで2時間ですね。」 私「へぇ、それはありがたい?　　違和感がなければそちらにしたいですが、 どんな雰囲気になるか知りたいので、 目元に当ててから決めても良いですか？」 ??♀?「勿論です?? (2束目元に当てながら鏡で確認する) いつものエクステが太さ0.1mmで、 Lカールだと0.15mmの太さのものしか ないんですが、どうですか？？」 私「良いかも！ (※酔いが回っている状態で見ている。) これでお願いします??」 施術していただくこと2時間。 仕上がり後の確認をして、若干いつもより濃く感じる気がするけど、違和感無さそう。大丈夫かも！(※酔いが回っている状態で見ている。) 私「いつもより華やかな感じがしますが、 こちらで大丈夫です? 今日もありがとうございました?」 そうして次回の予約を入れてお店を後にしました。 翌朝。 私「何これー！！！? まつ毛が濃すぎる！！！ 来週撮影があるけど大丈夫かな?」 いつもの仕様に付け替えてもらいたくサロンへ連絡をしますが、空いている日が三週間後だったので、泣く泣く諦めました。 数日後、兄弟に会うと ?「なんか目元が濃いね? 舞台メイクみたい！」 私「やっぱり？濃いよね? 酔っ払った状態で 施術してもらったんだけど、 感覚が麻痺してたよ?」 ?「えっ、迷惑だよ！ お酒臭くてアイリストさんが可哀想?」 私「そうだよね… お金で済む問題じゃないけど、 申し訳ないから迷惑料を お気持ち分お支払いさせてもらったよ??♀?」 ?「うん、そういう問題じゃないね。 大人としてセーブして！ まつエクの失敗は自業自得?」 私「はい、いい大人なので気をつけます??♀?　　こんな事を注意してくれるなんて　　あなたしか居ないよ！　　本当にありがとうね???♀?」 他店でお直しして更に変になったら嫌だったので、バサバサまつ毛で撮影をする事にしました。 それがこれです。 終わってしまった事なので自業自得なのですが、日常でバサバサまつ毛が気になったので、 次回予約前までに何とか付け替えてもらおうとタイミングを伺っていました。 それが先週の火曜日に叶ったのです！?何という良いタイミング！！ お直ししていただいていつも通りのナチュラルに変わってすっきりです? 0.05mm、0.01mm単位でこんなに雰囲気が変わってしまうなんて、美とは繊細だ！と実感したのでした。 【6月の予定??】 ご予約は初めまして様でも直接の姫予約が嬉しいです? ●公式LINE?シャロン本人が対応します。●メール?●XのDMから アラビアンナイト??♂??シャロン

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【6/12（木）～6/15（日）】4日間、逢いに来てくださった皆さま本当にありがとうございました???? たくさんの素敵なご縁に恵まれて毎日とっても充実した時間を過ごさせていただきました?? その日お逢いしたお客様から「今日はありがとう」の温かいメッセージをいただいたりしてふふっと微笑みながら帰路につく日々でした…? 久しぶりにお顔を見せてくださった本指名のお客様。「知人にすすめられて来ました」とお話してくださったご新規様…どの出逢いも、とても心が温かくなるものでした? そして、長いお時間をゆっくり一緒に過ごしてくださった本指名様も…変わらない優しさに包まれて、ほっと安心できる幸せなひとときでした? Xやblogに何気なく書いた投稿を読んで「こんな人なのかなと思って来たよ」と言っていただけたことも、とても嬉しくて…そんなふうに感じていただけること自体がありがたいなと感じます?? 最近は「犬と猫とお酒の人」というイメージがつきつつあるようで???動物好きで穏やかな方とのもふもふトークやお酒好きなグルメなお客様におすすめを教えていただけるのもとても楽しい時間です?? そして実は、漫画やアニメ、ゲームも好きなので…「そんな一面もあるんだね」と驚かれることも多かったり?? たくさんの素敵な出逢いのおかげでまるで縁側で日向ぼっこをしているようなあたたかくて穏やかな日々を過ごせました???? 連日の雨も、そんなやさしい空気に包まれて心から楽しめた一週間でした?? ありがとうございました????.

図書館に貸し切りはない

――プレゼントを渡した後のひと口はなんだか特別な咀嚼だった気がする。 マクドナルドである。いや、ただのマックではない。貸し切りのマックだ。しかも理由がバースデーパーティだというのだからこれはもう戦争に弁当を持っていったようなものだった。主役は、私の友人である。お嬢様然とした風貌のいや実際お嬢様なのだがとにかく私とは別世界の生き物だった。笑顔に角度があり、姿勢に芯があり靴が高そうで、服が高く声が通り、返事が早い。あれほど絵に描いたように｢堂々｣とした人間を、私は他に知らない。そんな彼女がマックをまるごと貸し切ったのだ。ドナルドの人形すらちょっとよそいきの顔をしていた気がする。壁に｢HAPPY BIRTHDAY！｣の装飾。紙の王冠。BGM。全部そろっていた。まるで夢の国である。私の家では、誕生日といえば家族だけ。母がケーキを切って父が｢おめでとう｣と一言。それが全てだった。だから私はこの華やかすぎるマックを前にして完全に｢モブ｣としてすみっこにモジモジしていた。すみっこの椅子にちょこんと座ってマックの紙ナプキンを折りたたんだりしていた。図書館では主役になれるけどマックの貸し切りでは私はただの見物人だ。でも、嫌ではなかった。どこか、ほんの少しだけ憧れながらも安心して見ていられるそういう光景だった。彼女は、中央にどっしりと鎮座しプレゼントを受け取るたびに満面の笑みを見せていた。その笑顔がまるで生まれながらにして舞台女優のようで私は小声で｢すごい…｣と呟いていた。図書館に入り浸って本を開いてばかりいた自分からすれば彼女は人間ではなくたとえば物語の中にしか存在しない｢ヒロイン｣のようだった。そんな私にもプレゼントの順番が回ってきた。えっ。と思った。みんなカラフルな袋を抱えている。私は、地元の文房具屋で買った小さなノートとちょっといいシャープペンをむき出しのまま持ってきていた。包装すらしていない。まるで、お年玉の渡し忘れを思い出してあわてて封筒から札を出したおばさんのような心境で私は｢はい｣と言った。彼女は、それを見て、何の疑問も抱かずまるで宝石でも受け取ったかのように、満面の笑みで｢ありがとう｣と言った。嘘じゃなく、本当に、嬉しそうだった。その瞬間、私は思ったのだ。ああ、こういう女になりたい、と。物怖じせず、誰に対しても笑顔で堂々としていて、けれどちゃんと人の気持ちを受け取れるそういう人に。無理かもしれないけどなれたらいいなと思った。私はその気持ちを隠すように目の前のポテトをひとつもぐもぐと頬張った。塩加減がちょうどよかった。 ?アカリ?