誰だって泣きたい時くらいある

幸せが欲しい時に来ないように

不幸は順番に来てくれない

虚しい時間だけが過ぎてゆく

それでも日は登る

日が登れば立ち上がる

立ち上がらなくてはいけない

この呼吸が

心臓の音が

聞こえる以上、立ち上がるだけだ

そこに理由はない

だから理由を持ちたくて

何かを愛したり育てたり熱中したり

逃げたり怯えたり避けたり

憎んだり怒ったり嫌ったり

嘆いたり悲しんだり嫉妬したり

知ろうとしたり学んだり鍛えたり

競ったり貶めたり媚び諂ったり

いつだって人は忙しい

目の前の鳥籠の鳥すら

気づいたら骨になっている

切られた尾羽は飛ぶことも許さずに

乾いた骨と散らばった羽を残して

忘れられていた跡だけ

空になった鳥籠だけ

忙しい何かの為に忘れて

簡単に失って

そうして気づく

自分以外の命の存在や

丁寧に生きなかった自分自身に

泣きたい衝動と

穴の空いた喪失感

不甲斐なさを抱えながら

明日も日が登ると

半ば確信して

半ば絶望して

それでも日が登る希望を

人は引きずって立ち上がる

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