行きつけのカフェで 温かい宇治抹茶を飲みながら ふと横の鏡張りのかべを眺めた 壁一面の鏡は店内を映し出している 始めは自身の姿ばかりを見ていたが その内に周りの姿が目に入り 空想が膨らんでくる 窓側に座る初老の女性だ 飲み物はそのまま、テーブルを忙しなげに 落ち着きをなくしている… 彼女は昨日、遠縁の親戚が亡くなり 大金が転がり込んできた 突然の弁護士からの要請に応じて 事務所に向かう傍ら、 老後用にと取っておいたタンス預金を 主人に内緒で株に使い込んでしまっていたが 何とかなりそうだと自身の幸運に 感謝しつつも、内心 詐欺ではないかと不安にかられている ひとまず落ち着く為にカフェに 来たものの、心が定まらない… あちらのスマホばかり眺めている男性は ずっと死体処理の仕方を調べている 同棲している仲間と口喧嘩が元で ついカッとなってしまったが… そんな空想遊びに耽りながら 鏡を長く見つめすぎてしまった 鏡越しでも不審に感じたのだろう パッと老女が振り返り 視線が合ってしまった 気づかれたかと、 にやりと、ゆっくり微笑むと 老女は「見えなかった」ふりをして 視線を外した まるでマコーレー・カルキンの 危険な遊びのように 金曜日出勤します 10:00〜16:00 ご用命をお待ちしてます iPhoneから送信