
31日は二の丑ですね。
というわけで今回は、それにちなんで(?)『うなぎ鬼』。
「知ってるかい?うなぎってのはタンパク質ならなんでも喰っちまうんだそうだ…。なんでもだぜ」
という不穏すぎるセリフで始まるお話です。
【あらすじ】
主人公の倉見は、体格は立派だが気の弱い男。
借金苦を偶然出会った千脇に救われ、彼の元で返済金回収の仕事をするようになる。
ある日、うなぎ養殖を行う「マルヨシ水産」へ荷物を運ぶよう言われるが、それは明らかに普通の配達ではなく…。
この作品を読んで思ったのが、これは人間の多面性の話なのかなと。
誰の心にも鬼が棲み、それはどんなきっかけで呼び覚まされるかわからない。
絶望、欲、恐怖、怒り、愛情。
きっかけは人それぞれ。
主人公の倉見も、あるきっかけで、普段の気弱な彼から想像はできない「鬼」になってしまうのですが、普段の彼も「鬼」の彼も、どちらも「倉見」なのですよね。
この作品の登場人物で好きなのが、千脇社長と、倉見の妻・朋子。
2人とも、自分の「鬼」との付き合い方を知っているのだろうと感じました。
千脇社長はその優しさから敢えて「鬼」の姿を見せ、朋子は自分の「鬼」の抑え方を知っているのではないかなと。
例えるなら、千脇社長は明王、朋子は菩薩のようなイメージの人なんですよね。
他にも感じたことはいろいろあるのだけれど、うまくまとまらない…。
とにかく、おもしろかったので、気になった方には『うなぎ鬼』を読んで欲しいなと。
若干のネタバレにはなりますが、「もううなぎは食べたくない…」ということにはならないので、そこは安心して読んでください。