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電車内に、
みゃーという鳴き声がふっと響いた。
その瞬間、思わず笑ってしまったのは、
それに応えるように
別の声がどこかから返ってきたから。
どうやらその日は、
偶然にも猫を連れた人が
何組か同じ車両に乗っていたようで。
まるで猫たちだけにしか聞こえない周波数で、
何やら秘密のやりとりでも
始めたようだった。
ひと声鳴けば、ひと声返る。
「そっちに誰かいるの?」
「いるよ、今ちょっと揺れてるけど元気だよ」
そんな風にでも話しているかのようで、
なんだか静かな車内に
ふんわりとした空気が広がっていた。
うちの子も例に漏れず、
どこか不安そうに鳴く声に
応えるように鳴き返す。
その声がやわらかで健気で、
まるで、
「大丈夫だよ、君はひとりじゃないよ」と、
仲間の不安をなだめているようにすら聞こえた。
けれど、
その共鳴があまりに真剣だったのか、
うちの子の緊張がピークに達したのか、
キャリーリュックの中でちょろり。
……ええ、やられました。
静かな連帯感が育まれる中、うちの子は
ひと足早く解放されてしまったらしい。
慌ててデッキへ移動し、
リュックの中と猫ちゃんの体を
ウェットティッシュで拭きながら、
「もう少しでお家に着くからね」
そっと声をかけると、
先程までの緊張が
ふわっとほどけていくのがわかった。
そして帰宅後。
リュックのファスナーを開けた途端、
一目散に猫ちゃんはお気に入りの場所へ。
そして直ぐ様、
へそ天ポーズで甘えん坊モードに突入。
見事なまでの脱力っぷりに、
こちらが拍子抜けしてしまう。
きっと彼なりに、
旅先で〝全力で気を遣った一日″
だったのだろう。
そんな姿も愛おしくて仕方ない。
アラビアンナイト??シャロン
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こんにちは?
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