
人には様々な側面がある。
善清のミルクを悪濁のコーヒーに落として、混ざり合う瞬間を閉じ込めると人間が出来る。
だから、どれだけ清廉潔白に生きようと心がけたとしても、この文章の3行目まで読んでドキリとしない人はいないのではないかと思う。
もし、「そうではない」と思うなら、それは欺瞞であり傲慢であり、客観性の欠如でしかないということを、言語化はできなくてもうっすらと理解している人が多いから。
関係の力学は善悪では語れないと知っているから。
それで、
「何を触っても、誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる」
のフレーズで「そこまでではない」と思わせる。
上手い???
瞬時に「じゃあこのお前って誰なんだ」という疑問を立ち上げて、


あまりにも似たパターンとして語り手から見た「お前像」をどんと出す。
上手い???
口語体なことと、独特のリズムで読みづらかったけど、それは私と王城さんの文章の表面的な相性問題であって、
「読み進めたくなるフック」と「疑問を立ち上げて回収するまでの早さ」と「主観視点の口語体だからこそ出来る物語構成」が素晴らしかったです??
あとこの「お前」のやり方はけっこうその辺に転がっているし、うちの母ちゃんもよくやってたけれど、
「自分がもっと頑張らなきゃ」
というのは「見捨てるという行いをしたらいい人ではなくなってしまうという恐怖」もセットだから成立する。
だから罪悪感を抱いて、勝手に反省する。
それに「かわいそうな人物を助けて、手を差し伸べることでヒーローになった気分にもなれる快楽」と「弱きを助くは人の善」という倫理も含まれるから、余計に絡め取られてるだけだと思う。
そういう人間の「よこしまさ」と「やさしさ」を逆手に取って、容易く共依存に仕上げると、人間はとても壊れやすくなる。
正義の味方になるには、悪がいないといけないし、かわいそうな人や不幸な人がいないといけないから、意図的にかわいそうで不幸な人を演って、崩壊を起こしていたのが「お前である」とされている訳ですが、

これがお前の
やり方かァーー!
という主人公のモヤモヤを言語化しつつ、その前提を持ってしてラストに収束させてゆく、なかなか良い短編でした??
次はまた教えてもらった本へ。
入院中の暇つぶしにって頂いた本は読まずにちゃんと取っておきます?
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