みお(28)
T161 B86(D) W57 H87

ジムの機材が放つ金属音と、
アップテンポなBGMが遠くで白く霞んでいる。
1時間前、プレートをセットした
ベンチに背を預けた時から、
すべての意識は自分の筋肉と
息遣いだけに絞り込まれていた。
胸を大きく張り、バーベルを胸元まで落とす。
重力に抗って押し上げるたび、
胸筋の奥から熱い疼きが立ち上り、
皮膚のすぐ下に血流が
どっと流れ込むのが分かった。
続いてマシンに向かい、
ラットプルダウンのバーを強く握りしめる。
引き寄せる動作に合わせて広背筋が
強く収縮し、背筋に沿って
一筋の汗が背骨の溝を
ゆっくりと伝い落ちていく。
その冷たさと、
体内の灼熱した感覚の対比に、
思わず吐息が漏れた。
ショルダープレスで
肩の三角筋を追い込み、
最後にダンベルを持って
上腕二頭筋と三頭筋を限界まで収縮させる。
筋肉が負荷に悲鳴を上げ、
乳酸でじわじわと痺れていく感覚は、
どこか甘美な苦痛となって
全身の神経を痺れさせた。
「……はぁ、……んっ」
トレーニングを終え、
汗に濡れたウェアを
脱ぎ捨てるためにロッカールームへと向かう。
自分の体から立ち上る熱気と、
うっすらと匂い立つ汗の香りが
鼻腔をくすぐる。
鏡の前に立ち、火照った肌を見つめ直す。
1時間の濃厚な攻防を終えた上半身は、
赤みを帯び、
パンと張り詰めて
心地よい重怠さに支配されていた。
指先で胸元から肩、
そして収縮した腕のラインへと
そっと触れてみる。
熱を帯びた肌の張りと
なめらかな筋肉の弾力が、
指先を通じて脳裏に甘いシビレを伝えてくる。
自分の体を極限まで追い詰めたという支配感と、
身体が重力に甘えて沈み込んでいくような恍惚感。
シャワーの冷たい水滴が
首筋から胸元へと落ちた瞬間、
熱を帯びた肌が小さく跳ねた。
疲労と多幸感が交錯する中で、
全身の細胞が静かに歓喜の余韻に浸っていた。
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