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黒崎(32)
T162 B89(E) W58 H88
先日載せた山本一力さんの小説 「花だいこん」の感想を載せます。 娘3人の手が離れた大工の安治さんが江戸幕府の棄捐令により景気が悪く大工仕事もままならないそんな時 老舗薬種問屋「蓬莱屋」の大看板思案の募集を知り そこに思案を出そうと職人の血が騒ぎ出した安治さんの本気の仕事ぶりと支える仲間や家族達の愛情がたっぷりと詰まった作品です。 看板のアイディアはなんとリアルなマムシの描かれた浅草寺にあるような大きな提灯 その絵を担当する三太郎さんと安治さんの偶然の出会いからスタートして、その後はマムシ料理屋で修行をして絵の腕を上げて また別に提灯に大きく描く専門の絵師と三太郎との関係も驚きと感動で泣けてきました。 娘達や奥さんの安治さんへの愛情と気遣い、夫婦の阿吽の呼吸などはなかなか身につけられる物ではないので少しでも見習いたいです。 悲しい最後ではあるけれど安治さんの初の棟梁仕事、悔いの無いようやり切って立派だったと思います。 中盤の大看板をめぐるコンペに裏から姑息な手を使う業者がいて、そこに勝つためにどう戦うのか考える駆け引き的なやりとりにはハラハラして印象に残りました。 そしてとんとん拍子では終わらない結末にはしっかりと意味があると感じられて、細かな違和感に気が付ける職人だからこそだよねと納得して読み終えた本です。 江戸の船やファッション、お食事、建築など様々な文化も細かく描写されていてそちらも楽しめますよ
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