🌿 早朝の山手線
朝5時〜6時台の山手線。
昼間より本数が少なく、乗り換え時間が長い。その分、待ち時間をどう活用するかで必勝かどうかが変わる。何に勝つかはよくわからんが、何かに負けないためにと必死にあがく現代人の片割れとして、時間を有効活用したいのは多分運命(さだめ)なのだろう。
長い待ち時間を経て電車に乗り込むと、意外にも混雑。
いや、これが普通なのかもしれない。平日の朝だもの。
まだラッシュの時間帯には程遠いのに、こんな時間から毎日仕事に向かう人がいると思うと、尊敬してやまない。
私は今日たまたま、通勤のために居合わせた、いわば部外者。
こんなぽっと出の部外者が車内の空間を食ってしまって、ごめんね。笑
……まあ、謝る気なんて微塵もないけど。何のために公共交通機関って名前よ、公共の場を利用するのは私の権利でしょ、って思いながら面の皮厚くして乗り込んでるんだ。あくまでも心の中でね。こんなに捻くれた口を叩く私だが、顔はいつまでもポーカーフェイスを貫く、建前だらけの人間だ。
そうこう言っているうちに新宿駅に到着。ドアが開く。
そして、急激にとある香りが鼻の奥を突っつく。
なにこれ。
アンモニア臭?それとも生乾き臭?どちらとも言える劇的な刺激臭。
梅雨と夏の狭間、限りなく夏に近い今だから香るものなのか。
それとも、何かの間違いで漂ってしまったものなのか。
早朝のホームには寝転ぶ人も見える。その誰かから香るものなのか。
これも早朝の山手線の風物詩なのか。
答えを探すべく頭の中が疑問で埋め尽くされる。
だが、不意に考えの世界から現実に引き戻される。
なんせ、臭い。
そして不幸にも、数駅その香りは続いた。
おかげで、洗いたてのカーディガンの裾の匂いを嗅ぐ羽目に。
……まあ、カーディガンがいい匂いだったから許そう。
さっきまで貫いていた鉄壁のポーカーフェイスがこの匂いによって一瞬で崩され、崩壊したのはまた別の話、、、
早朝の山手線。まだまだ混雑は続く。
私は一旦この場から退散するが、残ったみなみなの健闘を祈る。
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あかね✍️