せいら(22)
T154 B90(G) W57 H88
ここで働き始めた頃、
「頑張る」という言葉が呪いに思えた時期がある。
風俗業界の中での頑張るってなんだろうって。
かわいくいること?
ちゃんと出勤すること?
要望にNGなく応え続けること?
真顔で接客してたとしても、
お風呂に入ってイクことはさせればそれは役目果たしてるはずでしょう?
指名を増やす努力をすること?
クチコミの評価を気にすること?
この業界は「頑張り」が目に見えずらいものだと気づいた時、息苦しく思えてた。
お金のために、
自分のために頑張ると決めたのに、
「売ってるものの対価でしょ」と
たまに舐めてた時期もあったと思う。
誰かが言っていた、
風俗は接客業の究極だ。と。
普通の接客は「商品」や「サービス」を介して人と関わるけど、
風俗は “自分自身” が商品であり、癒しであり、空間そのもの。
相手が求めてる
「理想」「欲」「寂しさ」「承認欲求」
そういう見えないもの全部を受け止める。
笑顔ひとつ、言葉のトーンひとつ、距離の詰め方ひとつで
その人の心が少し軽くなったり、
逆に深く刺さったりもする。
見返りの曖昧な優しさを毎日差し出す。
お客様も、
生きるために身につけた「鎧」や「仮面」を外してここに来る。
「父」とか「お偉いさん」「上司」とか。
毎日心と心のぶつかり合い。
それに気づいた時、
ここでの「頑張る」は、
誰かを癒すために、自分の感情を一度横に置くこと。
自分の身体と心の“境界線”を守りながら働くこと。
お客様にとっての“居場所”をつくること。
その日を無事に終えること。
の4つになるのだと思った。
普通の生活の中でだって、
今日、自分を壊さずに生き延びたことだって十分すごいことなんだよ。
今の世の中、ちょっと生きずらすぎるよ。
みんな頑張りすぎ。
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