『こんなところに食堂なんてあったかな…。昨日まで、ここは雑草が生い茂る空き地で……そう、間違いないさ！俺は、俺は……空腹に震える子猫につまみにと買ったソーセージをあげたんだ。なのに、なのに…』

突然、目の前に現れた『水樹食堂』に首をかしげながらも男は、店先に吊り下げられている細く編んだ縄のれんに吸い込まれていった。
『いらっしゃい。待ってたのよ、あなたが来るのを今か今かとね……やっと会えたわ。』

にっこりとエクボをへこませ微笑む女将は、着物の合わせから歩く度に見え隠れする白足袋と足首の、ほんの少しの肌までも全てが店内のオレンジ色の灯りに相まって…妖艶で艶かしくて。

『え…、俺を待っていた？この店は一体……。でも、悪くはないな、この女将。』　
うなじにかかる後れ毛が長襦袢の襟にかかり、柔らかそうな胸の膨らみと腰つき、そして… 裾に広がるのは季節柄、撫子の花だろうか。自分の膨らんだ下半身を押さえながら、おしぼりを運ぶ女将に釘付けとなる男である。

お礼日記官能小説
『水樹食堂（猫の恩返し）』次に続く